DLC膜の構造変化と押付け回数の関係,DLC膜の構造変化とDLC膜損傷の関係について調査する予定である. 4.まとめ 一方,超音波振動子を用いた場合は,約6.5 × 107回の押付け後にできた圧痕直径は約400 µmであり,インバータモータを用いた場合の方が大きかった.図9はインバータモータを用いた押付け試験によってできた圧痕のEDXによる元素マッピング画像である.検出元素についてもほぼ同様であることがわかる.したがって,今回開発した超音波振動子を用いた繰返し押付け試験ではより短時間でより多くの回数の押付けが可能であるといえる. 今後の予定として,圧痕に対するラマン分光分析を行い,本研究では,ランジュバン型超音波振動子を用いた硬質皮膜の繰返し押付け試験機を設計,製作し,実際にDLC膜に対する押付け試験を行った.その結果をまとめて,以下に示す. (1)ランジュバン型超音波振動子の発振安定性は,振動子を装置に取り付けるために用いるボルトの締付けトルクに大きく影響を受けることがわかった. (2)超音波振動子に取り付けたホーン先端の軸方向変位の大きさは,振動子に印加する電圧と共振周波数によって制御できることがわかった. (3)超音波振動子を用いた繰返し押付け試験によって, 謝 辞 参考文献 低い基板バイアス電圧で形成したDLC膜と高電圧で形成したものとでは,損傷モードが大きく異なることがわかった. (4)超音波振動子を用いた繰返し押付け試験の圧痕とインバータモータを用いた場合の圧痕を比較したところ,圧痕の大きさや損傷モードに大きな差は見受けられなかった.このことから,より早く試験を終了できる超音波振動子を用いた試験法の優位性を確認できた. 今後,超音波振動子を用いた押付け試験でできた圧痕に対してラマン分光分析を行い,DLC膜構造と損傷モードの関係を調査する予定である. 本研究は,公益財団法人天田財団の平成29年度一般研究開発助成AF-2017037を受けて実施したものである.ここにこれを記し,深甚の謝意を表します. 1)前田雅人:ぷらすとす,2-19(2019),407. 2)中村守正:メカニカル・サーフェス・テック,008(2012),24. 3)中村守正・髙川祐加・山添竜輝・三浦健一・小畠淳平:塑性と加工,60-702(2019),203. − 257 −
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