図2 CAE解析によるホーンの軸方向変位 表2 DLC膜形成条件 -50 表1 加振条件 値 2・2 ホーンの軸方向変位測定 図1 ランジュバン型超音波振動子を用いた繰返し押付け試験機の外観 軸方向に約10 µmもの大きな変位が生じていることがわかった.同様の解析を行うことで,設計したホーンの軸方向変位を確認した後でホーンを製作した. 製作したホーンを取り付けた振動子を駆動させ,レーザードップラ型変位計((株)小野測器製,LV-1710)を用いてホーン先端の軸方向変位を測定した.振動子を加振させる条件として,電圧,周波数を変化させた.表1に加振条件を示す.繰返し押付け試験時は,ホーン先端に球圧子を取り付ける.そのため,ホーンと同じA2017を用いて製作したナットを用いる.軸方向変位測定時の変位計のレーザ照射位置は,そのナットの端面とした. 加振パラメータ 電圧,V 周波数,kHz 27, 36, 40 10, 20, 30, 40 スパッタ電力, kW ガス流量, sccm パラメータ 基板バイアス電圧, V 温度, K 時間, min. − 253 −Cr / C傾斜組成中間層 Cr C 1.5 → 0.0 0.0 → 3.0 Ar CH4 44 a-C:H 層 0.0 3.0 0, -200 30.0 1.5 673 273 2・3 DLC膜を形成した試験片 押付け試験に供するDLC膜は,アンバランスドマグネトロン(UBM)スパッタ法((株)神戸製鋼所製,UBMS202)により形成した.基板は寸法20 ×20 × t6 [mm]のSCM415製であり,浸炭焼入れ,焼戻しの後,皮膜形成面にラッピング加工を施した.表面硬さは約58 HRCであった.DLC膜形成前に,SCM415基板をアセトン,ヘキサン,アセトン液中でそれぞれ10分間の超音波洗浄により脱脂した.脱脂洗浄後UBMスパッタ装置の真空チャンバに導入した.チャンバ内圧力を1.0 × 10-3 Paに排気した後,DLC膜形成プロセスを開始した.形成プロセスは,ヒータ温度を400度に設定して加熱の後,タングステン(W)フィラメントへの放電電流を5.0 A,基板バイアス電圧を-50 Vに設定し,チャンバ内圧力が0.13 Paになるようアルゴン(Ar)を流入させた条件でプラズマを発生させ,Arイオンエッチング処理を施した.この後,Arとメタン(CH4)をそれぞれ30,1.5 sccmの流量で導入して金属クロム(Cr)とグラファイト(C)ターゲットのArイオンスパッタリングによりCr/C傾斜組成中間層を形成した後,DLC(a-C:H)膜を形成した.DLC膜形成プロセスを開始した.表2に,DLC膜形成条件を示す.DLC膜形成条件として変化させることができるパラメータには様々なものがあるが,そのうち今回はDLC膜の硬さやヤング率といった力学的特性を大きく変化させることができるとこれまでに把握している基板バイアス電圧を0 V,-200 Vの2水準とした.一方,ガス流量については流量を下げてガス圧力を低下させると硬いDLC膜が形成できることを,これまでに確認している. 形成したDLC膜は2層構造になっている.膜厚は試験片の断面SEM観察により測定し,Cr/C傾斜組成中間層は同一条件で形成しているので約0.47 µm,DLC膜の膜厚はバイアス電圧0,-200Vで形成した場合はそれぞれ0.93,0.78 µmであった. 2・4 DLC膜形成試験片への超音波繰返し押付け試験 2・3節で述べたホーンの変位測定結果を考慮して決定した振動子の駆動条件で,振動子を加振させてDLC膜に対する繰返し押付け試験を行った.繰返し押付け試験では,ホーン先端に 10 mmの窒化ケイ素(Si3N4)球を取り付けてDLC膜形成基板に押付けた.押付け回数は,超音波加
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