助成研究成果報告書Vol33
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]μ[00 図9に引抜き摺動試験の結果を示す.研磨面は引抜き距離が240 mm程度までは摩擦係数は0.1以下であるが,それ以上では徐々に上昇し,引抜き距離が340 mmを超えると0.13程度となる.一方で,放電面は,試験開始から終了(引抜き距離が480 mm)まで摩擦係数が0.07程度と低く安定している.試験終了後のPCD面をレーザ顕微鏡で観察した結果を図10に示す.研磨面にはリングオンディスク試験による結果と同様に摩図9 研磨面と放電面の比較 図10 引抜き摺動試験後のPCD表面 数係擦摩1枚目2枚目3枚目4枚目0.20.150.10.054) 南 久,増井清徳,塚原秀和,山本龍也,大上光生:金型用亜鉛合金の高速放電加工―放電5) 樋貝和彦,玉井良清,山崎雄司,平本治郎:プレス成型における薄鋼板の摺動挙動および6) 日本塑性加工学会編:プロセストライボロジー―塑性加工の潤滑―,コロナ社,(1993)pp.65-89. 2 mm20 μm-10 μm研磨面1002003004002 mm20 μm-10 μm放電面前のPCD面に塗布し,長さ120 mmの板状純チタンを4枚引抜いた.摩擦係数はロードセルによって測定した引抜き荷重と挟み込み力から求めた.図8は試験に用いた研磨面と面積率41 %の放電面,およびレーザ顕微鏡で測定したそれぞれの加工面の断面曲線を示す. 擦面には,チタンが凝着している.一方,放電面には摩擦痕が観察されるが,チタンの凝着などは認められない.以上のことから,絞り加工における摩擦条件下においても,PCD表面に形成した微小穴が潤滑油を保持することで,低い摩擦係数が維持できることがわかった. 潤滑油の保持性の高いPCD表面の形成を目的として,放電加工で微小穴を形成したPCD面の摩擦特性について検討した結果,以下のことがわかった. (1)薄板形状の亜鉛合金を極性(-)で工具電極に用いることで,PCD表面に微小穴を均一に形成することができる. (2)放電加工で形成された微小穴は,油だまりとして,潤滑油の保持性に有効に作用し,チタン材に対しても焼付が発生することなく,低い摩擦係数を長時間維持できる. 本研究は,公益財団法人天田財団の一般研究開発助成(AF-2017036)により実施したものです.関係者各位に深く感謝を申し上げます. 4.結言 謝 辞 参考文献 放電面引抜き距離[mm]引抜き方向研磨面引抜き方向1) 古閑伸裕:焼結ダイヤモンドの塑性加工工具への適用技術,FORM TECH REVIEW, 26, 1 (2017) pp.62-66. 2) 経済産業省平成23年度第3次補正予算戦略的基盤技術高度化支援事業「長寿命・微細PCD(コバルト焼結ダイヤモンド)金型部品の開発」成果報告書 3) 南 久,渡邊幸司,増井清徳,鍋倉伸嘉:放電加工による燃結ダイヤモンド工具の成形加工,電気加工学会誌,Vol.44, No.105 (2010) pp.125-132. 加工特性とフレーム電極による三次元創成加工―,電気加工学会誌,vol.37,No.84(2003)pp.17-22. 摺動試験条件の最適化,塑性と加工,Vol.58,No.672(2017)pp.41-46. − 251 −

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