ここで,VPLAはPLAの体積分率であり,EPLAおよびEABSは,それぞれPLAおよびABSのヤング率である.そこで,PLAの体積分率であるVPLA=0.43と表3に示すEPLAおよびEABSを式(1)に代入すると,PLA/ABS複相材料のヤング率はEPLA/ABS = 1.13 GPaと推算された.この推算値は,mm52表1 複相材料引張試験片の造形条件. 図1 Route AのECAP加工にて導入されるせん断面およびせん断方向. 表2 ECAP加工複相材料の造形条件. 3.結果および考察 図4は,PLA/ABS複相材料への引張試験にて得られた応力-ひずみ曲線である.また,図4には,比較材として,PLAおよびABSのみを引張試験に供して得られた応力-ひずみも一緒に示している.この応力-ひずみ曲線から,PLAの降伏応力および引張強さはABSよりも高いことが分かる.この結果より,複相材料のモデル材料を作製する際には,PLAが硬質相およびABSが軟質相とすることが適切である.また,PLA/ABS複相材料の降伏応力および引張強さは,PLAとABSの中間的な大きさであった. 図2 本研究で用いた3Dプリンタの外観写真. ’A’A AA 図3 作製した複相材料引張試験片の寸法および形状. 図3に示すような積層型のPLA/ABS複相材料に対して積層方向と垂直方向に引張試験を行った場合,複相材料のヤング率は次の式で表すことができる5). EPLA/ABS = VPLA EPLA+ (1 - VPLA) EABS (1) 3・1 PLAおよびABSが積層したPLA/ABS複相材料の力学的性質 本研究では,3Dプリンタにて作製したPLA/ABS複相材料のヤング率が複合則に従うことを確認するため,図4に示す応力-ひずみ曲線よりヤング率を測定した.測定した各試料のヤング率を表3に示す.また,PLA/ABS複相材料におけるPLAおよびABSの体積分率を断面組織写真から測定した結果,PLAおよびABSの体積分率は,それぞれ43%および57%であった.そこで,表3に示すPLAおよびABSのヤング率を用いて,PLA/ABS複相材料のヤング率を複合則に基づいて推算した. 断面図厚さ: 5 mm以降,この積層型複相材料をPLA/ABS複相材料と呼ぶ.その後,作製した複相材料を引張試験に供し,応力-ひずみ曲線よりヤング率を求めた.なお,引張試験における引張速度は0.6 mm/minとした. 30 mm45 mmR5 mm3Dプリンタにて作製したモデル材料のヤング率が複合則に従うことを確認した後,前節のシリアルセクショニングにて得られたSTLファイルを用いて,ECAP加工を施したAl-Al3Ti複相試料のモデル材料を作製した.このときの成形条件を表2に示す.作製したモデル材料の寸法は24.9 mm × 44.7 mm × 33.6 mmであった.その後,作製した試料を用いて圧縮試験を行い,応力-ひずみ曲線からヤング率を測定した.なお,圧縮試験における圧縮速度は1.0 mm/minとした. PLA1 mmABS造形速度 積層ピッチ 吐出幅 積層方向 吐出率 造形速度 積層ピッチ 吐出幅 積層方向 吐出率 30 mm/s 0.5 mm 0.6 mm 厚さ方向 0.9 30 mm/s 0.5 mm 0.6 mm 厚さ方向 0.9 − 243 −
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