助成研究成果報告書Vol33
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図4 下側ツール(ワーク設置前) 図6 Cu/AZ91系FSLP1パス後の断面組織と元素分布 1パス後のミクロ組織図6(b)において,攪拌部のオニオンリング内にはMg/Cu多層組織が見られ,長時間を要する超積層法 6) により作製した試料に類似した構造が短時間で得られたものの,図6(c)に示す通り,攪拌部全体としては合金濃度が不均質であった. 図7 Cu/AZ91系FSLP3パス後の断面組織と元素分布 3パス後の攪拌部では1パスに見られた多層構造が消失し,図7 (b)のように径2 m以下の微細な金属間化合物CuMgAl粒子がその場析出し,攪拌部内の組織の均質性は向上したものの,図7 (c)に示す通り,合金濃度が均質な領域は表面からの深さ0.5 mm~1.5 mmの幅約1 mmの領域に限られ,それより深い領域では板の裏面に向かってMgおよびCu濃度が傾斜した. 2・5 高融点材料用摩擦攪拌ツール材の開発 図8にツール挿入直後のDSFSPの状況を示す.合金化を促進するため1000 rpmの高回転数,20 kNの高荷重に設定したが,TiおよびFeに対するFSWおよびFSPの条件としては入熱が過多であったこともあり,ツール送り量 図5 Ti-Fe合金の鋳塊 3・2 FSLPにより作製されたMg-Cu系合金の均質性評価 前回の一般研究開発助成AF-2014109において実施したCu/AZ91系FSLPの1パス後の攪拌部のマクロ組織,ミクロ組織,板厚方向のMg, Cu等の濃度分布をそれぞれ図6 (a), (b), (c)に,3パス後のそれらを図7 (a), (b), (c)にそれぞれ示す. そこで,板厚方向の合金濃度をさらに均質化するため,上下の両側からツールを挿入し,Ti板とFe板の突き合わせ部を攪拌するDSFSPを検討するに至った. 3・3 DSFSPによるTi-Fe系水素吸蔵合金創製の試み 放電プラズマ焼結(Spark plasma sintering; SPS)装置を用いて,3元系合金のツール材を開発した.大阪産業大学ハイテクリサーチセンターにおいて1000℃までの高温ビッカース硬さを測定した.ツール材の高温硬さの開発目標としては,高融点金属の典型的なFSW温度である1000℃において,ショルダー径12 mmのツール材が5 tの荷重に耐えうる降伏応力σy =433 (MPa)に相当するビッカース硬さ144 (HV)を設定した.(経験則HV≒σy/3を利用した.) 3.実験結果および考察 3・1 溶製されたTi合金へのFSP適用の試み 溶製されたTiFeの鋳塊を図5に示す.得られた鋳塊のサイズは縦50 mm,横50 mmであり,板材がスライス可能な実質的な厚さは約30 mmであった.ビッカース硬さは710 HVであった.精密切断機で常用する切断砥石(Disco BDNA1004 WA120NB10)では砥石の消耗が速く板材のスライスが困難であった.放電加工機によるスライスも試みたが,アークが安定せず,ワイヤーも切れやすく,作業は難航した.本研究が目指す水素吸蔵合金製造の高速化・低廉化の目的に合致しないため,TiFe鋳塊からスライスした板材にFSPを適用する試みは一旦断念した.金属間化合物は一般に高硬度で難加工材となるため,今後はトヨタ自動車らが開発した固溶体合金(Ti-Cr-V等)にこの工程の適用を検討する予定である. − 240 −

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