図3 FSW装置 図2 高周波誘導真空溶解炉 2・3 FSLPにより作製されたMg-Cu系合金の均質性評価 前回の一般研究開発助成AF-2014109において,0.5 mm 厚のCu板を上板,5 mm厚のMg合金AZ91(Mg-9wt.%Al-1wt.%Zn)を下板とするFSLPにより作製された試料に対し,攪拌部の板厚方向のCu, Mg濃度の均質性をSEM/EDXによって評価した.FSLP条件はツール回転数1500 rpm, 送り速度20-50 mm/min., 荷重600~800 kgf (5.9~7.8 kN), 同一直線上の重複パス数1~3パスとした.ツール寸法はショルダー径18 mm,プローブ径M6(ねじ付き), プローブ高さ3.8 mmの工具鋼製ツールを用いた.板厚方向の合金組成の均質性の評価は分析型走査電子顕微鏡JEOL JSM-6610 LAを用いて行った. 2・4 DSFSPによるTi-Fe系水素吸蔵合金創製の試み 攪拌部の板厚方向の合金組成の均質性を改善するため,Ti板とFe板の突き合わせ部の上下からツールを挿入するDSFSPによるTi-Fe合金の創製を試みた.両面摩擦攪拌は接合分野で研究されており 5) ,これまでFSPあるいは合金化に適用した事例はない. FSW装置は図3の大阪大学接合科学研究所のFSW3号機を用いた.図4にワーク設置前の下側ツールを示す.上下のツールの回転数は1000 rpm, 回転方向は上側ツールは時計回り,下側ツールは反時計回りとし,上側ツールの荷重は2000 kgf (20 kN),下側ツールは位置制御,送り速度50 mm/minの条件でDSFSPを行った.上下のツールは直径12 mmの超硬合金(WC-Co)製の平ツールを用いた.攪拌部が化学量論組成のTiFe金属間化合物(Ti-50at.%Fe)に近い組成となるように,Ti板とFe板の突き合わせ部のTi側に7.2 mm, Fe側に4.8 mmがかかる位置に上下のツールを挿入した. 片方の材料側に挿入するが,本研究では,摩擦攪拌による熱,強ひずみ,塑性流動を,合金化ならびに金属間化合物生成の反応促進に積極的に利用するため,図1 (c)および図1 (d)のように両側の材料に攪拌部がまたがる位置にツールを挿入する.前回の一般研究開発助成AF-2014109では,Cuを上板,マグネシウム合金AZ91板を下板として図1 (c)に示す重ね摩擦攪拌プロセス(Friction stir lap processing; FSLP)を施し 3) ,攪拌部に水素吸蔵能を有するMg2Cuを含む合金層を形成した.この攪拌部について,後述の通り板厚方向の合金組成の均質性を評価したところ,Cu濃度の傾斜が確認された.そこで,板厚方向の合金濃度の均一化を図るべく,今回初めて図1 (d)に示す両面摩擦攪拌プロセス(Double-sided friction stir processing; DSFSP)を試み,攪拌部に水素吸蔵能を有するTi-Fe合金を創製した.しかしながら,高融点金属を対象としたFSWと同様に,ツールの耐久性に問題が生じたため,高融点金属用摩擦攪拌ツール材の開発にも取り組んだ. 2・2 溶製されたTi合金へのFSP適用の試み 溶製された鋳塊からスライスした板材に図1(b)のFSPを施すことで水素吸蔵特性を向上できれば,均質な合金が容易に作製でき,低廉で実用的な水素吸蔵合金の製造プロセスとなり得る.図2の高周波誘導真空溶解炉(富士電波工業株式会社製)を用いて,鉄1kgに対しスポンジチタン857 gを計量し化学両論組成の金属間化合物TiFe(Ti-50 at.%Fe)を溶製した. 精密切断機および放電加工機による鋳塊のスライスを試みた.鋳塊の一部を切断,樹脂埋め,研磨し,微小ビッカース硬さ測定システムFuture-Tech FM-300/ASV-90を用いてビッカース硬さを測定した. − 239 −
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