助成研究成果報告書Vol33
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3.結論 2・6 曲線経路の曲げ機による加工 直線曲げトライアルと計算結果から得られた知見をもとに,新たに曲線曲げ機を製作した.曲げツールは,直線曲げ機と同型ツール(図4参照)とし,曲線曲げ機中央に固定して使用する. 曲線曲げ機におけるワークの経路生成方法を次に示す.まず,曲げ経路をCAD上に自由曲線で定義する.その曲線上に点群を配置して,各点群の位置座標を加工開始点から終了点まで順番に出力する.次にワーク上の加工開始点に曲げツールがくるように各電動スライダの位置を逆算する.この逆算を加工終了点に至るまで順番に行い,曲線曲げ機の制御用PLCに取り込む.後は,取り込んだデータを順番に実行処理させる. 試作した曲線曲げ機を用いて,トライアルを実施した.加工条件は前節の計算と同様で,曲線経路は図9の経路,ワーク初期形状は250×250mm,材料は板厚 0.6mmの軟鋼板(SPCC)とする.押込みピッチを1mmで固定し,最大押込み深さを3mm,6mm,9mm,12mmの4条件の加工をした. 各条件の加工品を図13に示す.このように,計算と同様に曲線に沿った薄板鋼板の曲げ加工ができた. また,C字形経路を生成し,この経路に沿って同様の加工を施した加工品を図14に示す.C字形経路では,深く曲げるとワーク固定部でゆがみが生じたが,経路を変更するだけで多様な曲げができた. 今回のトライアルから,曲げツールの押込みを深くすると肩ローラでの折れが顕著になる,ワーク固定部付近でゆがむ,曲げ加工の繰り返しの途中で曲げ経路がずれるなどの課題を確認できた. 図13 S字経路に沿って曲げた加工品 図14 C字経路に沿って曲げた加工品 2・7 複数の曲げを付与した加工 最後に,1つの薄板鋼板に浅い曲げ加工を等ピッチで複数回入れた加工トライを行った.なお,浅い曲げとはいえ,繰り返すとワーク全体に反りが生じるため,後行程にて周囲のたて壁をたてて,加工面を平面状に補正した.加工品を図15に示す. このように曲げを繰り返すことで,立体的な凹凸模様を浮き出す意匠的な製品への展開もはかれる. 薄板鋼板を対象に,自由度の高い曲げ加工を実現する逐次曲げ加工方法を提案するとともに,当該加工方法を実現する試作加工機を制作して,加工トライを行った. その結果,汎用ツールの加工経路を変えるだけで,自由度の高い複雑な曲げ加工を実現することができ,本提案方法が有効であることが分かった. 今回得られた知見は次のとおりである. 1)逐次曲げ加工に特化した曲げツールを用いることで,曲げ深さを徐々に変更する加工や,曲線経路に沿った曲げ加工が可能である. 2)曲げ経路のパス情報を変更することで,1つの汎用曲げツールで,多様な曲げ加工ができる. 3)逐次曲げ加工を模した計算予測ができる.これにより,机上での加工の可否の事前検討ができる. 今後の課題として,さらなる曲げ品質の向上,曲げ加工に要する時間の短縮,強度の高い材料への対応などがあり,解決を目指す. 本研究は,公益財団法人天田財団の研究助成(AF-2017033)の支援のもと実施しました.また,研究の推進にあたり,広島大学 日野隆太郎先生には多くのご助言を賜り,広島県立総合技術研究所の岡野仁主任研究員と岩谷稔主任研究員には制御系の開発等に尽力いただきました.ここに,深く感謝の意を表します. 図15 複数回浅い曲げを入れた加工品 謝 辞 − 237 −

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