図9 曲げツールの解析用のモデル 図10 S字状の曲げ経路 図12 繰りかえし経路の影響(等高線図) 図11 曲線経路の曲げ計算の結果 図4の曲げツールをもとにワークと接触する部位だけを取り出し,この部位に剛体要素を張り付けたものである. この曲げツールモデルは,押込みローラ,センタローラ,肩ローラなどで構成する.押込みローラに下向きの強制変位を与えるとワークを経由して,センタローラが押込まれ,それに伴いリンク機構により肩ローラが傾斜姿勢をとる.ワークは,この押込みローラと1組の肩ローラにより,局所的な3点曲げ加工を受ける. 次に計算における加工の様子を説明する. 製作する曲げ機では,曲げツール側を固定,ワークを移動制御するが,その場合,ワークを進行方向に対して接線方向を保ちつつ移動させる必要があるため,移動と姿勢変更を同時に設定する必要がある.そのため,計算では,製作する曲げ機とは異なるが,ワーク側を位置固定し,曲げツールを強制移動させる方法で加工を模擬する. はじめにワーク端部となる初期位置で押込みローラを規定量だけ押込み,初期曲げを付与する.ついで,押込み深さは規定量のままで,曲げツールを曲線経路に沿って移動させることで,S字経路全体に曲げを付与する.経路の終端位置に至ると,工具の押込みを解放する(図10参照). 曲げ経路を複数回通過して,徐々に深く加工をする場合は,工具の押込みを解放した後に,もう一度初期位置に戻る.ついで,初期位置にて,前回の規定値以上に曲げツールを押込み,その曲げ角度を維持しながら,同じ経路を通過して曲げ角度を深くする. 計算条件を次に示す.ワーク形状は250×250mm,材料は板厚 0.6mmの軟鋼板(SPCC)とする.曲げ経路は図10のS字経路とし,押込みピッチ2mm,最終押込み深さを10mmの加工を想定した計算を行う. 最終押込み深さを2mm,4mm,6mm,8mm,10mmとした計算結果に対して,等高線表示したものを図11に示す.この計算結果から,曲線経路の加工も可能であり,押込量を増やしつつ,曲げ経路を繰り返し通過することにより,曲げ角度を大きくできることを確認できた. 次に,曲線曲げにおいても,徐々に曲げ角度を深くしつつ曲げ角度を深くする加工の方が,高い曲げ品質の成形ができるかを計算で検証する. 初期位置で10mm押込み1回経路を通過して加工を完了した計算結果(押込みピッチ10mm)を図12左に,押込みピッチ2mmとして,経路を5回通過して加工した結果を図12右示す. 前者の加工では,図12左の矢印部のS字経路の凸側部位において,肩部ローラがワークへ食い込む現象がおき,窪みが生じた.これは,もともと平板形状から急激な曲げ変形を付与することが原因で,極端なゆがみが生じやすい.一方,複数回の加工に分散した後者は滑らかな等高線となり,極端な歪みが発生しないことを確認できた. 以上のように,曲線経路の曲げ加工の計算においても,複数回に分けて曲げ加工を行う方が品質的に望ましいことを確認できた. − 236 −
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