助成研究成果報告書Vol33
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2・2 直線曲げ加工機の開発 逐次曲げ加工では,曲げツールを曲げ機に組み込んで使用する.この曲げ機は,曲げツールを規定値だけ押し込む機能と,ワークもしくは曲げツールを曲げ経路に合わせて移動させる機能を有する. 曲げ機開発にあたり,初期検討段階から複雑な曲げ加工ができる曲げ機を試作するのはリスクが高い.理由は2つあり,1つは,逐次曲げ加工が未知の技術領域であるため,基本的な曲げ加工さえできない可能性があること,もう1つは,複雑な経路上を移動させる機構は難易度が高く,トライ加工に至るまでに多大な時間を要することである. そこで,初期検討用として曲げ経路を直線に限定した曲げ機(以下,直線曲げ機)を開発し,基本の逐次曲げ加工の可否を判断する.可能であれば,複雑な経路も加工できる曲げ機(以下,曲線曲げ機)の開発に着手する. 図3に開発した直線曲げ機を示す.本機は従来のベンディングマシンと同様に曲げ経路は直線に限定されるが,曲げ経路上の曲げ角度は,逐次変更できる. また,本研究で開発する曲げ機については,機構を簡略化できることから,曲げツール側を固定し,ワークを移動させて加工位置を制御する仕組みとする.対象となるワークの最大寸法は幅300mmを想定した. 直線曲げ機の構成を図3に示す.曲げツールの押込みには電動シリンダRCP6-WRA(IAI社製),ワークの移動制御には電動スライダRCP6-WSA(IAI社製)を使用し,これらの機器はPLC FX-5U(三菱電機製)を使い,一括制御する. なお,初期の直線曲げ機は,曲げツールの押込む機構にエアシリンダを使用し,供給圧力を変更することで曲げ角度の調整をこころみた.しかし,曲げ加工の開始点,中央,終了点で変形抵抗が変わるため,供給圧力を一定にしても均一の曲げ角度に成形できないことが分かった.そこで,押込み機構についても,電動スライダの押込み量制御に変更した. なお,曲げ機および曲げツールの開発には,3次元CAD ソフトウエアのSolid Works(米,Dassault Systems SolidWorks Corporation社,米)を使用した. 図3 直線曲げ機 2・3 曲げツールの開発 図2で想定した曲げツールをベースに,次の3点を改善した曲げツールを製作した(図4参照). 1点目は,剛性不足対策として全体に補強を加えた. 2点目は,受けパッドでのこすれ傷が顕著に発生することから,ローラ構造のセンタローラに変更した. 3点目は,内挿バネでは受けパッドの下支え力を調整できないことから,エアシリンダ式に変更し,さらに電空レギュレータでエア圧を調整することで,加工中での下支え力の変更を可能にした. 2・4 直線曲げ機による加工トライ 初期検討トライの結果,基本的な曲げが可能であることを確認するとともに,曲げ品質に関して重要な知見を複数得た.その1つが,一度に深く曲げると,成形品の不要な部位に折れや傷が発生し,曲げ品質が悪化することである.これは,同じ経路を複数回通りながら徐々に曲げ角度を大きくすることで改善できる. 例えば,最終押込み深さ12mm,押込みピッチ2mmの場合は,まず,押込み深さの規定量を2mmに設定して曲げ経路にそって加工を行う.次に押込み深さの規定量を4mmに増やして同経路の加工を行う.これを規定押込み深さが最終押込み深さ12mmになるまで全部で6回繰り返し,徐々に曲げ角度を大きくして,目的の曲げ深さ形状にする. 加工トライの共通条件を示す.ワーク形状は120×250mm,材料は板厚 0.6mmの軟鋼板(SPCC)とする.加工は押込みピッチ1mm,曲げ経路はワークの長手方向中央を通る直線経路とし,ワークの加工速度は40mm/secとする. 加工トライは,最終押込み深さを2mm,4mm,6mm…,18mmに変えた9条件を実施する.なお,最終押込み深さを18mmとした加工品の夾角がおよそ90度になる. 加工後に三次元測定器Vectron (東京貿易テクノシステ図4 製作した曲げツール − 234 −

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