助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:ベンディング,インクリメンタル,薄板鋼板 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017033) 図2 提案する曲げツールの概念図 薄板鋼板の板金成形では,金型を使用したプレス成形が主流であるが,金型の製作費が高い,製作期間がかかる,大型のプレス機が必要等の観点から,金型レスもしくは金型数削減への要望が強い. これらの要望に対し,インクリメンタル成形やスピニング成形といった“逐次成形法”がある.逐次成形法とは,1つの汎用ツールを使って張出し等の局所加工を行いながら,加工部位を移動させることで,金型レス(もしくは金型数削減)にて,多様な複雑形状の板金成形を可能にする成形方法である. 筆者らは,この逐次成形法に注目し,張出し等の加工に代わり局所的な“曲げ”加工を行いつつ,加工部位を連続的に移動制御することで,板金成形を行う“逐次曲げ加工”方法を提案する. 本提案方法により,従来のベンディングマシンでは,同一の曲げ角度,かつ曲げ中心を結ぶ線(以下,曲げ経路)が直線でしか加工できなかったものが,曲げ角度を任意に変更でき,曲げ経路を曲線とする加工が可能になる(図1参照). 本報では,このような加工を実現するために,要となる汎用“曲げツール”と,曲げツールとワーク間の相対制御を行う“曲げ機”の開発を行い,これらを用いて曲線経路に沿って薄板鋼板を曲げる加工を実現したので,これを報告する. 広島県立総合技術研究所 西部工業技術センター 生産技術アカデミー 製品設計研究部 1. 研究の目的と背景 図1 従来の曲げと提案する逐次曲げ 部長 安部 重毅 2.研究方法と成果 2・1 逐次曲げ加工の基本機構 逐次曲げ加工では曲げ加工に特化した汎用ツールを使用する.この曲げツールは,上側に配置する上側治具と,下側に配置する下側治具の1組のツールで構成し,一方の治具を相手側治具に押込むことで,局所的なV曲げを行う. 曲げの機構を具体的に示す.図2の概念図の例から,曲げ機の機構により,上側治具を下側治具に押し付けると,上側治具の押込みローラがワークを経由して,下側治具の受けパッドを押し込む.パッドの下降により,下型治具のリンク機構を介して,受けパッド先端を中心に1組の肩ローラがV字を形成するように傾斜しながら持ち上がる.ワークは,こうして持ち上がった1組の肩ローラと押込みローラ間の3か所の接触部で曲げられる. 図2左のように,押込みローラを微少量だけ押し込むと,肩ローラの傾斜は少なく,浅い曲げとなる.一方,押込み量を増やすと,図2右のように,より深い曲げに加工できる. 逆に押込み量を減らすと,内挿バネ力による復帰機構により,受けパッドを初期位置の状態へ戻そうとする力が働く.これにより,1組の肩ローラは深いV字から浅いV字に移行する. 提案する逐次曲げ加工では,ワークを任意の曲げ経路に沿って移動させつつ,順次曲げを加える.そのため,曲げ経路の移動中に押込み量を増加,減少させる制御を行うことで,ワークの曲げ経路の任意の部位で,深い,浅いといった“曲げ角度を調整”した加工ができる. なお,この曲げツールは,加工力低減やこすれ傷防止のために,V曲げ時にワークと接触する3か所の部位は,摩擦抵抗の少ない“ローラ構造”を採用する. − 233 −汎用ツールによる金型レスの逐次曲げ成形技術の開発

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