キーワード:インクリメンタルフォーミング,スプリングバック,残留応力 インクリメンタル・フォーミングは,塑性加工のフレキシブル化を目指した新しいCNC加工技術で,図1の基本プロセスでは棒状工具を等高線パスに沿って動かして目的とする曲面形状をその包絡面として得る.自動車,航空機等の輸送機械,および建築用曲面外板への応用が始まっている1). 一方で,実用化を阻む課題が存在する.形状精度不足は最重要なものであり,「(成形中の)ゆがみ」や「スプリングバック(ゴー)」(図2)がそれである.また,クリアランス部に生じる「だれ」も同様である. ダブルサイド・インクリメンタルフォーミング(Double- Side Incremental Forming : DSIF)は,1990年頃の黎明期から注目され,上記課題の解決に対する有効な手法である1)-3).しかし,そのプロセス,あるいは工具配置をどのように制御するかについてはまだ結論には至っていない.本報告では,主にFEMを用いて工具配置が残留応力に及ぼす影響を系統的に調べた. 図1 インクリメンタル・フォーミングの基本方式 図2 インクリメンタル成形されたシェル部品の負のスプリングバック(Blank: pure titanium, blank thickness: t0=0.2mm, tip radius: rp=1.0mm, tool feed: pz=0.05mm/rev., surface treatment: anodic oxidation, lubricant: vegetable oil) (シングルポイント・プロセス) 図3 ダブルサイド・インクリメンタルフォーミング 図4 ダブルサイド・インクリメンタルフォーミングにおけ(a) 対向配置 (b) 支持配置 る工具配置 . . − 228 −1.研究の目的と背景 静岡大学工学部 学術院工学領域機械工学系列 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017032) 教授 田中 繁一 2.ダブルサイド・インクリメンタルフォーミング ダブルサイド・プロセスでは,図3のように独立した2つの工具を素板の両側に配置して成形を行う.多くの研究では2つの工具を素板に対して対称対向位置に配置している.しかし,この配置では圧縮以外の負荷を素材に与えるのは難しい.しかし,図4(a)に対称対向あるいは若干ずらすことにより素材に曲げ・曲げ戻しの負荷を複雑に素材に導入できる.さらに,同図(b)のように広範囲に配置制御できれば,たわみあるいはだれ変形を抑制しながら成形を行うことができる. ダブルサイド・インクリメンタルフォーミングにおける工具配置の最適化
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