助成研究成果報告書Vol33
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形状が粒状でCNTに比べてアスペクトの少なく,流速の影響を受けづらい粒状のナノダイヤモンドを銅に対して0.04~0.25 wt.%で機械混合した粉体を450℃,0.5 MPaの作動ガスでアルミニウム基板上の約1000 cm2の領域にノズルを5回スキャンさせて堆積させた際の堆積重量を計測した結果を図4に示す.粉末中のナノダイヤモンドの重量の上昇とともに堆積効率が大きく減少した.さらに0.25 wt%以上のナノダイヤモンドの濃度においては膜を堆積できなかった. 図5 銅-ナノダイヤモンド混合粉体投射時の 膜の堆積重量の原料中のナノダイヤモンド濃度依存性 これらのことから,コールドスプレー法による複合材料膜の堆積における課題を解決するための手段としてナノ機能材料の原料濃度を上昇させることや粒子速度を上昇させることでは困難である事が示された.これは膜の堆積条件が図2②の様に金属等の塑性変形による接着で9), ナノダイヤモンドやCNT等のナノ材料は衝突時に塑性 変形により付着しようとする金属界面でその塑性変形を阻害し,若しくはその界面に入り込むことで粒子と基材 若しくは膜の接着を阻害することが分かった.このため,高濃度にナノ材料を含む複合材料膜合成には単純な機械混合ではなく,粒子の段階で粒子表面側,または衝突する表面側に塑性変形できる金属層を有する粒子が必要と 考えられた. 3.3 塑性変形相とCNTの接着による改善 前節の結果を受け,粒子の段階で粒子表面側,または衝突する表面側に塑性変形できる金属層を形成した粒子の作製を行った.CNTの成長には金属触媒を用いている種類のものがある.この触媒を成長起点に塑性変形相をCNTから金属層をメッキにより成長させる事で,上記の粒子を実現した.CNTにはBay tube C150P (バイエル)を用いた.本CNT上に無電解メッキ法によってニッケルを形成した.無電化ニッケルメッキでは粒子に成長核となるサイトがある場合,それを起点にし,還元反応によってニッケル等の金属を析出できる10).無電解ニッケルメッキ液にはSEK-797(カニゼン)を用いた.この溶液内でCNTを攪拌 しながら,90℃で30 分間ニッケルを堆積させ,その後,洗浄・乾燥し,ニッケル層含有CNT粒子を得た. 本粒子を400℃,0.6 MPaの作動ガスでアルミニウム基板上にコールドスプレー法に投射して図6に示す黒色の堆積物を得た.本膜の堆積においてはある一定時間以降は膜の厚さが上昇せず,堆積が止まった.得られた膜の断面観察を行う為,樹脂で包埋した後,切断・イオン研磨した表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像を図7に示す.15~25 mの厚みを有し,表面及び内部にCNTの凝集物と考えられる黒色部が多数観察された.特に膜の最表面はCNTが多く偏析している事が確認できた.この膜の炭素とニッケルの比率をグロー放電発光分析(GD-OES)によって評価した所,膜表面では,ほぼ炭素のみが検出され,膜の内部においてもニッケル:炭素35:65 (at.%)で炭素含有量が大きい事が示された.この結果は従来の炭素濃度を 大きく超えるナノ機能材料の導入が本手法により可能である事を示している. 図6 ニッケル層含有CNT粒子からアルミニウム基板上に図7 ニッケル層含有CNT粒子から作製した膜の この結果から本手法により作製したニッケル層含有CNT粒子が飛翔中に炭素に比べ,質量の大きいニッケルが析出している側を基板側として飛翔し,ニッケルとアルミニウム基材とがまず,締結したと考えられる.そのうえで,逆側のCNT中に幾分かあるニッケルが次に飛翔してくる粒子のニッケルと締結していったと考えられる.その結果,表面がほぼCNTで覆われた状態となった時に膜側の塑性変形が起きづらくなり,粒子の堆積ができなくなった為に膜の成長が停止し,図7に示されるCNTが表面側に極めて多い膜を得ることができたと考えられる. コールドスプレー法により形成した被膜 断面SEM像 − 226 −

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