図1. コールドスプレー装置の概略図1). キーワード:コールドスプレー,粒子速度,複合材料厚膜 2.実験方法 機能性粒子としてカーボンナノチューブにはVapor 図2. 粒子の衝突速度と膜形成の関係2). 1.研究の目的と背景 粉体を超音速の気体に載せて基材に衝突・積層させて厚膜を得る技術に図1に示すコールドスプレー法がある. 作動ガスを超音速ノズルで加速し, この音速流に金属や樹脂粒子を載せ, 基材表面に衝突させて粒子を塑性変形させることで堆積させる技術で,数mm~cm厚の膜を堆積できる1). 即ち,コールドスプレー法での膜の堆積には衝突時の塑性変形が大きな鍵を握る.この塑性変形の条件は純金属粒子では,図2②に示す膜が堆積される衝突速度領域がある2).基材に衝突した粒子は速度が臨界速度付近であると,衝突時に塑性変形し, 基材上に粒子は堆積する. 飛翔速度が速すぎると図2の様に基材を孔食し, 遅過ぎると粒子が塑性変形せずに弾かれる. 金属の臨界速度は一般的に300~1200 m/sで粒子持つ運動エネルギーにより衝突時に粒子が塑性変形して基材上に堆積物を形成する. 東京工業大学 工学院機械系 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017031) 准教授 赤坂 大樹 近年,カーボンナノチューブ(CNT)等のナノ機能材料を金属や樹脂粒子中に混合し,コールドスプレー法を用いて,複合材料を形成する研究が2010年頃から行われてきた3,4).従来,これら複合材料は樹脂と機能材料を混練後,金型に流し込んだり, 混練された複合材料ペレットを射出成形する等して作製されてきた5).これら複合材料の作製法は加熱や混練で,機能材料が劣化する.コールドスプレー法では粒子の融点迄,上昇させる事なく,比較的低温で膜や3次元構造物を形成でき,更に,混合粒子から直接造形 できると考えられる. 一方で,コールドスプレー法における技術的課題はCNT等のナノ機能材料の導入率が低い事にある6).これは本法による複合材料合成が,金属や樹脂の母材粒子の衝突時の塑性変形により膜が堆積する一方で,CNT等は塑性変形を起こしづらく,膜内に導入されにくい為と予測される. このため,本研究はCNT等の炭素系ナノ材料を機能性ナノ材料として選択し,これを金属や樹脂などの粒子に混合し,衝突時の臨界速度に最も大きな影響を与える衝突速度のCNTの添加による変化を把握した.その結果から衝突時の母材及びCNTの衝突時の塑性変形挙動と,機能材料が如何に塑性性材料内に取り込まれているかを解析・予測し, 最終的にコールドスプレー法によってCNT等の機能性ナノ材料を高濃度に含む複合材料膜合成の効率を上げる 手法を開発することを目的として研究を行った. Growth Nano Fiber (VGNF : 昭和電工製)を,ナノダイヤモンドを用いた.金属粒子として,平均粒径 20 mの球状純銅粒子(福田金属箔粉社製: Cu-HWQ-20)を,樹脂には平均粒径約20 mのポリエチレン(PE: フローセンUF-20S:住友精化製)を用いた.これらの粒子はコーヒーミルにより約10秒攪拌し,混合粒子を得た.基板には46のアルミナ粒子でサンドブラスト処理し,比表面積を増大させたアルミニウム板および,Polypropylene(PP)板を用いた. 複合材料膜の合成にはDYMET 423とAdvanced Cold Gas System (スタータック社製)を組み合わせた低圧コールドスプレー装置用いた.粒子の加速に用いる作動ガスには,− 224 −超音速飛翔粒子の衝突時の塑性変形の 解析による複合材料合成の高効率化
元のページ ../index.html#226