助成研究成果報告書Vol33
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2章で得たAP-PLY積層プリフォームの基礎物性とそれを用いたメゾスケールモデルを活用して,賦形時の欠陥発図6に示すように,賦形型の形状の特徴を変化させた2パターンの型に賦形する状況を想定して比較した.段差の図5に基礎物性試験(引抜き試験とせん断試験)それぞ図6 賦形形状の設計 (a) 引抜き試験とその解析結果の比較 (b) せん断試験とその解析結果の比較 図5 基礎物性試験と解析モデルの比較 (a) 引抜き試験のモデル (b) せん断試験のモデル 図4 メゾスケールモデルによる基礎物性試験のモデル化 方性弾性体とし,テープ基材の一軸引張試験によって取得した材料定数を与えた(E1, E2, ν12を実測値で与えた). 引抜き試験モデル(図4(a))では,剛体プレートAにより経方向基材に引抜き変位を与え,剛体プレートB, Cに緯方向基材を拘束するとともに,剛体プレートD, Eにより面外方向の圧力を加えた.テープ間の摩擦係数は引抜き試験で得られた値を用いた.またシェルエッジの接触も考慮し,隣接するテープ間には0.04 mmの間隔を与えた.テープモデルの要素数は118,440であった.変位速度は計算時間短縮のため,実験値の約2000倍の値を用いているため,計算上の高次の振動が現れるが,時間平均でみると実験と解析の比較が可能である.また,慣性項の影響が小さいと想定し,マススケーリングによりクーラン条件を緩和し,動的陽解法による解析の時間幅を大きくすることで,計算時間の短縮を図った.一例では,CPUコア数4で約53時間の解析であった. せん断試験モデル(図4(b))においてもほぼ同様のモデルを用い,境界条件として,剛体プレートF, Gに回転方向の変位によるせん断変形を付与するとともに,剛体プレートH, Iによる隙間をテープ基材2枚分の厚さとした. 2・3 結果と考察 れの実験結果と解析結果を比較して示す. 引抜き試験のモデルは概ね実験結果の引抜き荷重を再現していた(図5(a)).したがって,引抜き試験で得た摩擦係数を用いてモデル化することで,AP-PLYプリフォームの挙動をよく表現できることが分かった.ただし,実際には実験を複数回行うと,引抜き荷重はばらついており,摩擦係数の評価には課題も残っている.図1(c)の断面画像にもあるように,プリプレグの表面状態は比較的均一ではあるものの,完全に一様ではなく,またAP-PLYプリフォームにおいても,場所によって試験中の面外圧力に偏りが生じることなどから,摩擦力が一様でなく,試験条件の影響を受けやすいことが要因として考えられる. せん断試験については,治具の特性によって,試験片の変形開始時に形状が整うまでに荷重が上昇する現象がみられている(先行研究においても確認されている)が,その後のせん断荷重の上昇は材料特性が純粋に現れている領域であり,おおよそ実験と解析で同様の傾向を示した. 以上のことから,基礎物性試験に対するメゾスケールモデルについて一定の妥当性を確認できた. 3.賦形形状の設計と賦形試験・シミュレーション 3・1 賦形形状の設計 生を抑制する最適な賦形形状の設計方法について検討した.ここでは特に,賦形時の繊維配向変化による目ずれの発生を抑制し,均一に賦形するという観点で,賦形性に優れた形状を見出すことを目的とした. ある部材の高さが滑らかに変化するように曲面で接続した形状を用い,この曲面部分の形状による影響を調べた.(なお,図6(a)において,y方向には高さは一定である). (a) 賦形形状の設計の模式図 − 220 −

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