キーワード:部分加熱回転加工法,反転ねじり型折紙構造,衝突エネルギー吸収体 図1.自動車サイドメンバーと衝突荷重変形線図 図2.部分加熱回転加工法とRTO構造 図2に示す部分加熱回転加工法を実施するために,有限要素法を利用して塑性成形過程のシミュレーションを行図1に示す自動車サンドメンバーと衝突荷重変形線図では,サンドメンバーが細長い形状を持つため,圧潰変形1.研究の目的と背景 2.RTOと部分加熱回転加工法の提案 治具を使い,上端を完全固定して,下端を回転できるようにする.図2の左から右へ示すように,一段ずつ高周波誘導(IH:Induction Heating)加熱してから,下端を回転させて,中間の加熱される部分だけをねじり塑性変形させる.上から下へ各段を順番にねじり変形させた結果,図2の右側に示すようなRTO構造が得られる. 3.部分加熱回転加工法の成形性能検討 い,固定治具と角パイプ素材の間に生じる相対変位や,塑性変形部分の角パイプ素材に与える加熱温度などを検討する必要がある. ここでは,検討のため,汎用ソフトウェアLS-DYNAを使い,図2に示す部分加熱回転加工法によるRTOの塑性成形過程を解析する.図3に部分加熱回転加工法によるRTOの成形解析モデルを示す.節点数は42600,角筒成形素材の要素の平均寸法は1.0mm,要素数は22050であり,成形の金型要素の平均寸法は1.0mm,要素数は20148である.使用する素材の寸法は,長さ300mm,辺長50mm,板厚1.6mmである. 衝突エネルギー吸収体として設計される工業製品はよく見受けられる.自動車の前面衝突用のエネルギー吸収部材として,エンジンを左右から挟むようにして前後方向にボディ先端まで設置されているサイドメンバーという中空の細長い角柱構造は,前面衝突時に横へ折れ曲がるオイラー座屈が生じやすく,一旦それが発生すると,サイドメンバーは折れ曲がり,衝突エネルギー吸収量は極端に下がる.それに起因して,圧潰変形途中で,このようなオイラー座屈が生じることはなく,できるだけ圧潰変形を長く続け,衝突エネルギー吸収量を最大にすることは車両部品の衝突設計において最も重要な課題である. 本研究では,新たに反転ねじり型折紙構造(Reversed Torsion Origami Structure; 以下RTO)とそれを廉価に加工できる部分加熱回転加工法を提案する.新しく提案する部分加熱回転加工法では,角筒素材を軸方向に沿って段に分けて,段毎に単純な捩じり成形を繰り返すだけで成形品を得ることができる.また,ねじり塑性変形部分だけに対し加熱する方法を適用することによって,小さな加工荷重で加工できると同時に角筒素材を固定する治具の簡素化も実現できる. 本加工法の主な利点としては,高圧の油圧システムなど複雑な加工設備は不要で,部分的に単純な捩じり成形だけで済むので加工コストの大幅な節減が得られ,さらに内部の高い液圧による張り出し変形しないため局所的に肉厚が大幅に薄くなる問題も回避できる.本研究はRTOを部分加熱回転加工法で成形する問題点や成形品質等と,十分な衝突エネルギー吸収性能を持つかについて検討を行い,実用化に向けた知見をまとめる. 過程において,横へ折り曲がりやすく,衝突エネルギー吸収性能が極端に落ちることがよく見受けられる. 理想的な衝突変形パターンとしては,図1のサンドメンバーの衝突荷重変形線図に示すように,出来るだけ初期ピック荷重値が低く,安定的な圧潰変形が長く続かれることは求められている. これを実現するように,本研究は図2に示すRTOと加工方法を提案する.図2では,正方形断面の角パイプに対して,軸方向に沿って段に分けて,角パイプの両端を固定埼玉工業大学 工学部機械工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017028) 教授 趙 希禄 固定 − 207 −荷重 初期ピーク荷重 加熱 回転 圧潰変形長さ 圧潰変形 成形品 新しい折紙型衝突エネルギー吸収体の廉価な逐次塑性加工法
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