助成研究成果報告書Vol33
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tinubra / .ytisnetnI表1 アルキメデス法によるTi-Al-N焼結体の密度測定結果 tMA= 20 h×4(a= 0.4305 nm)tMA= 20 h×2(a= 0.4292 nm)表2 MA-SPSプロセスにより作製した(Ti,Al)N焼結体の KIc / MPa∙m1/2総MA時間依存性 図8 SPS法により作製したTi-Al-N焼結体のXRD図形の 機械的特性 20 h×23.4 MA-SPSプロセスにより作製した(Ti,Al)N焼結体の機械的特性と耐酸化性 今回は,(Ti,Al)N相を有すると考えられるtMA = 25 h×4,20 h×4,20 h×5の条件で作製した焼結体の機械的特性について報告を行う. 表2に,MA-SPSプロセスにより作製した(Ti,Al)N焼結体の機械的特性を示す.表2より,ビッカース硬さの最大値はtMA = 20 h×5の試料において得られ,HV2060という非常に高い値が示された.これらの焼結体の硬さについては,基本的には焼結体の嵩密度,すなわち焼結密度に比例した結果になっている(tMA = 25 h×4の嵩密度はρ = 4.08).しかしながら,同時に結晶相と微構造の影響が強く生じているとも考えられる.図9に,MA-SPSプロセスにより作製した(Ti,Al)N焼結体の破断面SEM像を示す.図9より,tMA = 25 h×4と20 h×5の試料はどちらも微細な結晶粒により構成された結晶組織を有しており,空隙量の違いを除けば双方の結晶組織は非常に近しいものとなっていることが確認された.これに対して,tMA = 20 h×4の試料は,他2つの試料と比較すると粒成長が進展した結晶組織を有していることが分かった.焼結密度に差があるtMA = 25 h×4と20 h×4の試料において,余りビッカース硬さに差が生じなかったのは,この結晶組織の違いが影響しているのではないかと考えられる.なお,このような結晶組織の差が生じた原因は不明であるが,一つの要因としてXRD図形中に示された未同定相の影響を考えている.この未同定相が形成されているのは,tMA = 25 h×4と20 h×5の試料のみである.焼結時に析出されると考えられるこの未同定相が,結晶粒の抑制を果たしているのではないかと予想する.数はa = 0.416 nm)6).この差異の原因については,現段階においては分かっておらず,今後調査が必要な事項となっている.上述してきた結果に加えて,3.2の図4に示したXRD図形の結果を比較すると(例えば,tMA = 20 h×2とtMA = 50 h×2のXRD図形),総MA時間ではなく,MA処理の繰り返し数が焼結体の結晶相に大きな影響を与えていると考えられる.一方で,tMA = 20 h×5とtMA = 25 h×4に共通して確認されている未同定相は,tMA = 20 h×4のXRD図形中には確認されない.このことは,総MA時間も結晶相に影響を与える可能性を示している.今後は,これらの点についても,調査を進めていく必要があると考えている. 表1に,アルキメデス法によるTi-Al-N焼結体の密度測定結果を示す.表1の結果より,tMA = 20 h×3を除けば,嵩密度はtMAの増加に伴い比例的に増加していることが確認された.また,図6の焼結挙動にて各試料とも焼結が完了していることが確認されたことを反映するように,開気孔率についてもρo = 0.1 %程度の値が得られている.なお,tMA = 20 h×3だけがρ = 5.25 g/cm3と密度が高く,開気孔率もρo = 0.22 %となっているのは,上述したように焼結中に気化が生じたためであると考えられる.また,密度がTiNの理論密度(ρth = 5.40 g/cm3)に近づいていることより,気化したのはAlであると予想される.どういった相変化によりAlが気化することになったのか,またなぜtMA = 20 h×3やtMA = 25 h×3の時のみAlの気化が生じるかは不明であり,今後の調査が必要である. : unknown4030tMA= 20 h×5(a= 0.4312 nm)tMA= 20 h×3(a= 0.4298 nm)tMA= 20 h×1TiNAl3TiTi2AlNh-AlN60Diffraction anle, 2θ / deg.50Sample20 h×120 h×320 h×420 h×5Sample25 h×420 h×4WC20 h×570-15-19-47Density, ρ / g·cm-34.004.085.254.274.64Hardness,HV (98 N)Fracturetoughness,1404 +104.31459 +338.62059 +394.5Open porosity, ρo / %0.050.170.220.100.04Bendingstrength,σb / Mpa275781344− 205 −

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