助成研究成果報告書Vol33
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図1に,原料粉末のXRD図形を示す.同図株には,TiAl,Ti3AlのICDDカードデータを示した.図1より,原料粉末であるTi-Al粉末の主相がTiAl相であることが確認された.また,Ti3Al相が存在することが確認されたが,Ti相やAl相などの未化合の金属相や,不純物に起因したピークは観察されなかった.なお,SEMによる結晶粒径の観察結果より,同粉末の結晶粒径は30 ~ 60 µm程度であることが確認された. 3.2 MA-SPS法による(Ti,Al)N焼結体作製におけるMA時のtinu .bra / ytisnetnItinubra / ytisnetnI .tMA= 25 h×4tMA= 50 h×2tMA= 100 h×1図2 MA処理回数を変化させて合成したTi-Al-N粉末の 図2に,MA処理回数を変化させて合成したTi-Al-N粉末のXRD図形を示す.また,同図下部にはTiN,TiAl,h-AlN,WCのICDDカードデータを示した.図2より,全ての粉末においてTiNのNaCl型構造に起因すると考えられるピークが確認された.一方,Alの安定な窒化物相であるh-AlNに起因する明確なピークは観察されなかった.この結果より,本研究の狙い通り,(Ti,Al)N相を有する粉末の合成に成功したと考えられる.しかしながら,tMA = 100 h×1の粉末においては原料粉末のTiAlに起因すると考えられるピークが明確に確認された.また,このピーク強度がMA処理回数の増加に伴い減少している様子が観察された.この結果より,固着を解消しながらMA処理を進めることにより,粉末の窒化が確実に進展するようになることが確認された. 図3に,MA処理回数を変化させて合成したTi-Al-N粉末のSPS焼結時における収縮曲線を示す.図の縦軸は,昇温前に加圧力50 Paが付加された時の位置を0としたラムの変位量を示し,プラス方向への変化は体積の膨張を,マイナス方向への変化は体積の収縮を示す.図3より,tMA = 100 h×1および50h ×2の試料についてはT = 600 °Cにおいてすでに体積収縮が開始しており,T = 1050 °C程度で変位が収縮から膨張に転じることが確認された.これは,図2のXRD図形中に示されたTiAl相が焼結挙動に対して主体的に表れた結果であると考える.一方で,tMA = 25 h×4の試料においては,体積収縮開始温度はT = 1100 °Cとなり,T = 1600 °Cにおいても体積収縮が止まらない結果となった.これまでに著者らが作製したTiN焼結体の場合,T = 1400 °C程度において焼結が完了する2).これと比較すると,少なくとも焼結温度が200 °C以上高くなることが分かった. 図4に,SPS法により作製したTi-Al-N焼結体のXRD図形のMA図1 原料粉末のXRD図形 焼結体の抗折力は,精密万能試験機((株)島津製作所製,AUTOGRAPH AG-X,10 kN)を用いた3点曲げ試験により評価した.3点曲げ試験では,まず焼結体試料より約3×3 mmの断面形状を有する試験片を作製し,支点間距離15 mmにて試験を行った. また,3点曲げ試験は同組成の異なる焼結体試料から作製した試験片にて3回行い,その平均値を抗折力とした.なお,硬さ試験および3点曲げ試験用の試験片については表面研磨を行い,最終的に1 μmのダイヤモンド砥粒を用いたバフ研磨により光沢研磨した.加えて,3点曲げ試験用の試験片については,試験片の稜をC0.5程度となるように面取りした. 3. 実験結果および考察 3.1 原料粉末について 粉末固着解消の影響について 物生成へ大きな影響を与えることが分かっている.そこで本研究では,総MA時間をtMA = 100 hとした上で,MA処理回数を100 h×1回,50 h×2回,25 h×4回と変化させて粉末合成を行い,(Ti,Al)N相合成におけるポッド壁面への固着の影響についても調査した. Mikiらの報告では,Ti50Al50-N粉末に対して50 hのMA時間において約50 at.%のNを吸収できるとされている.本研究では,MA環境の違いを勘案し,より確実に(Ti,Al)N相を合成するために基本的なMA時間をtMA = 100 hとして,(Ti,Al)N粉末の合成を試みることとした.また,著者らのこれまでの経験において,長時間MAにおける粉末合成においては,粉砕容器壁面への粉末固着が化合3040Diffraction anle, 2θ / deg.Ti3Al506030TiAl704050XRD図形 TiNTiAlh-AlNWC7060Diffraction anle, 2θ / deg.− 202 −

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