助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:水中衝撃波,マグネシウム合金,高ひずみ速度 水 1.研究の目的と背景 マグネシウム(以下,Mg)合金は,実用金属中最軽量で,比強度やリサイクル性に優れ,電磁波シールド性,振動吸収性など優れた機能を有する1)~4).一方で,Mg合金の課題はその塑性加工性にある5),6) .すなわち,Mgは冷間加工が困難で製造コストが依然として高い.切削加工は,歩留まりが悪く本質的な製造コストの低減にはつながらないため,生産性向上や製造コスト低減を実現するには塑性加工に関する知見の集積とMg合金に適した加工プロセスの構築が必須である.また,これまでのMg合金の塑性に関する研究は,低ひずみ速度域の評価にとどまっており,高ひずみ速度域の塑性に関する知見は未だ不明な点が多い.さらに,高ひずみ速度域でのMg合金の塑性の評価に適した実験手法は確立されていない7). 本研究では上記を解決する可能性を有する手法として,極めて短時間に大きなエネルギーを素材に与え,高ひずみ速度で塑性加工を施す“高エネルギー速度加工8)~10) ”に着目する.さらに,高エネルギー速度加工の中でも高圧液体利用する“空気圧により発生させた水中衝撃波による衝撃水圧成形法11)12)”をMg合金の塑性加工に適用する.この手法は,火薬や大電流など危険を包含する要素を使用せず,機械的に生じさせた高水圧を金属ポンチの代わりとしてプレス成形などを行う手法であり,通常のプレス成形では加工困難な形状,材質の部品を簡易,安全,クリーン,低コストに生産できる. 鹿児島工業高等専門学校 機械工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017026) 准教授 徳永 仁夫 水圧室本研究の目的は,高ひずみ速度域でのMg合金の塑性加工性を詳細・定量的に分析する実験手法を構築し,Mg合金を対象とした新しい塑性加工技術を提案することであり,基礎的知見を集積する.具体的には,空気圧による水中衝撃波の強度制御法確立および衝撃水圧成形法によるMg合金の高ひずみ速度域での塑性加工の可能性の検討に取り組む. 2.実験方法 2・1 実験装置の概要 本研究で使用する衝撃水圧装置の概要を図1に示す.深絞り加工を例とした衝撃水圧成形の手順は以下の通りである. ①貯気槽に高圧空気を充填する. ②貯気槽内圧力が所定の圧力(打ち出し圧力)に達した後,電磁弁を開放し高圧空気を装填室に送る. ③高圧空気によって,装填室に設置した弾丸が走行管内に発射される. ④発射された弾丸は走行管内を通り水圧室内の水を打撃し,圧力波(衝撃波)が発生する. ⑤水圧室内には,図1(b)に示すように水と試験片,受けダイスを配置する.発生した衝撃波が深絞り加工におけるポンチの役割を果し,塑性加工を施す. 圧力計貯気槽走行管衝撃弾電磁弁装填室走行管水圧室受けダイス受けダイス試験片− 197 −衝撃水圧を用いた高ひずみ速度域におけるマグネシウム合金の (a) 装置の構成 (b)水圧室の構成 図1 実験装置概要 塑性に関する研究

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