助成研究成果報告書Vol33
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3・4 アルミ板に転写されたリング凹形状 図9は圧延加工したアルミ板の電子顕微鏡写真である.図9(a), (b)はそれぞれ300と900 dpiパターンである.リング形状が明瞭に転写されている.300 dpiパターンの窪み以外の領域には,小さな凸形状をした多数の斑点が見られる.図8で観られたロール下地のクレータ形状との対応が考えられ,表面粗さが転写されたとも言える.対して900 dpiパターンはエッジが丸く,斑点は見られない. 図10はアルミ板に転写されたリングパターンの白色干渉計の測定結果である.リング形状が凹みとして明瞭に転写されている.300 dpiパターンではリング周辺に小さな黒い斑点(黒領域は,良質な反射光が得られなかったことを示す)が見られる.対して,900 dpiパターンは上記斑点が無く平滑である.これは図9の電子顕微鏡写真で観られた特徴と符合する. ±0.006 µm Ra(12箇所の測定値0.003-0.025 µm),筋に垂直方向で0.013±0.006 µm Ra(12箇所の測定値0.008-0.031 µm)である.2つのローラ間ギャップはネジを回して調節する機構であるが,何通りかの条件を試して,リングパターン4種が全て転写され,かつローラを回転させるトルクが少なくなる条件とした.ギャップを狭くする図9 アルミ板に転写されたリングパターンの電子顕(a) (b) と,圧延したアルミ板は,沿りやキャンバーを生じ易くなるためである.定めた条件のローラ間ギャップを透過型の照明を利用して,明るいスリットとして実体顕微鏡観察したところ,幅は約408 µmであった.板の送り速度は10 mm/s程度であった. 3・3 ロール円筒面上のリング凸形状 図8は,微細加工したロール円筒面の白色干渉計(Zygo社 NewView 7300)による測定結果である.リング凸形状が明瞭に見られる.リング上面は平滑であるのに対し,下面は表面粗さが見られる.元々,エッチングした下地は図6のように,電界研磨をかけなければ面が分からないくらいの表面粗さがあった.局所的なクレータ状のエッチング痕が見られるが,リング形状と関係無くランダムに存在する.SUS304母材にあった組織に関係していると考えられる.エッチング下地領域にて表面粗さを求めると,300 dpiパターン領域で0.20±0.13 µm Ra,900 dpiパターン領域で0.16±0.05 µm Raであった.クレータ状のエッチング痕の有無と,その大きさで表面粗さの値が大きく変わるため,上記のdpiでの値の違いは,ばらつきの範囲内と考えられる.下地からのリング高さは300 dpiパターン領域で1.86±0.24 µm(14箇所で1.25-2.25 µm),900 dpiパターン領域で1.74±0.15 µm(13箇所で1.5-2.15 µm)である.標準偏差に入る値の違いであり,SUS304ロール面のウェットエッチングはパターンに依存せず一様に進んだと考えられる. リング形状の周辺,特にリング間ギャップの狭い領域は,アルミ材料の膨らみが感じられる.これは,ロールの凸リング形状によってアルミ材が押し込まれ,周辺に移動したさいに,隣接する両側のリングからのアルミ原子の移動が重なったと考えられる.むしれと思われる形状は見られなかった.圧延ローラ側に付着物が無いことは光学顕微鏡でも確認している.なお,ロールは電子顕微鏡に入らない大きさのために観察していない.矢印は,ロール回転によってアルミ材が移動した方向を示す.図9(b)で見られる右上微鏡像.(a) 300 と (b) 900 dpi パターン. がりの僅かな平行線からなる筋は,アルミ材に元々あったものである. 圧延加工したアルミ材の,リング以外の直線部分(元々板面であった領域)で表面粗さを測定すると,300 dpiパMoving direction of Al plate by rolling Moving direction of Al plate by rolling − 190 −

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