助成研究成果報告書Vol33
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[µm]36281812[µm]76583826Incident lightReflected lightFineness of array[dpi]300400600900Al platePitch of array[µm]84644228Outer diameter 100 µmInner Area ratio of diameter ring0.500.490.500.53(b)1.背景と目的キーワード:圧延ロール,テクスチャリング用レリーフ,三次元フォトリソグラフィ圧延鋼板に表面形状を付けるため,圧延ロール円筒面に,特定形状のレリーフを刻む場合がある.このために機械加工やレーザ加工が利用される.塗装前の梨地加工など,鋼板にダル用ディンプルを形成する場合は,ショットピーニングで実現するランダムな突起形成で問題は無い.しかし,アルミニウム板や,アルミニウムめっき鋼板に対しては,尖った形状がアルミ材のむしれを生じることがあり,別の方法が模索されている.アルミは塗装されることなく,そのまま利用されることが多いため,地肌の美しさが要求される.例えば,どの向きから見ても(どの向きから照明光が当たっても),つや消しされて見える仕上がりである.表面色調を均一にする技術が求められる.このためにはランダムな形を重ねるのではなく,表面形状を制御して可視光が均一・広角で反射・散乱することが望ましい.前原らはレーザ加工によって,圧延ロールに制御された凹凸形状を鋼板に転写した.直径170 µm,高さ10 µmのリング状突起を,ピッチ340 µm(75 dpi相当)で配列した.図1(a)に示すように,リングは中心対称で,方向依存性の無い形状である.但し,加工したリングサイズは可視光で目視確認できるレベル(サイズ約50 µm以上で目視可能とされる)であり,依然として粗い.パターンをより微細化することが期待される.しかし,パターンを微細にするため,レーザをより集光して点を小さくすると,1点あたりの加工面積が狭くなり,生産性が下がる問題がある.加えて,焦点深度が浅くなり,位置決め精度も要求される.掛川らは表面テクスチャリング技術として,フレキシブルな厚さ10 µmのステンレス箔をメタルマスクにするために丸穴をレーザ加工して,ダイヤモンドライクカーボンをピッチ約65 µmで並ぶ直径約45 µmの丸形アイランドアレイ状に成膜した.一方で,フォトリソグラフィ加工は,LSIなどの微細な製品の量産に利用されている.フォトリソグラフィは,加工対象の材料制限は少ないが,レジスト成膜とマスク露光の2工程において,平面サンプルでないと良好なパターンが得られない.もしも,この制限を越えて,レジスト微細パターンが立体サンプル上にも得られるならば,後のエッチングなどのプロセスは,多点で同時に進む原子・分子レベルの反応を利用できる.微細化が進んでもスループットは下がらず,高い生産性が得られる.従来から,リソグラ豊田工業大学大学院工学研究科(平成29年度一般研究開発助成AF-2017024)教授佐々木実(a)図1(a)リング状窪みによる光散乱の模式図.(b)リングパターン4種の相対的な大きさ.フィ技術を,機械部品の加工に適用する試みはあったが,理想的な組み合わせとは言えなかった.例えば,マイクロコンタクトプリンティングは,まず平面基板に,従来法の光や電子線リソグラフィによって微細凹凸パターンを形成した基板を型とし,柔らかなポリマー材にてスタンプを製作する.スタンプ凸部に分子を塗布し,これを基板にコンタクトすることで,パターン化した分子膜を得る方法である.鋼部品で求められる大面積に応用するには,利用している材料の耐久性が不足する.我々は上記の制限を受けない新しい手法を見出した.従来は,立体サンプルに直接フォトレジストを成膜してからパターン転写を行う考え方であったが,しなやかなシートとしてレジスト膜と,更にパターンの潜像までを用意して,最後に立体サンプルに貼り付ける方法である.潜像形成までは,平面サンプルと同様に扱えるため,フォトリソグラフィ用の標準装置群を利用できる.必要な設備は,標準のスピンコータとマスクアライナで良い.ポリビニルアルコール(PVA)はレジスト溶媒には溶けず,水には溶けるポリマーであることを見つけたことが背景にある.PVA層はプロセス中ではレジスト膜に対してクッション材として働き,フォトレジスト膜を薄くしても膜を傷めにくい.貼表14種のリングパターンの設計値− 187 −圧延ロール面への表面色調均一化パターンのフォトリソグラフィ微細加工

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