助成研究成果報告書Vol33
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Fig.1レーザー衝撃試験による硬質膜の密着強度評価法の模式図と写真 3. 波動伝播シミュレーション げた.その結果,約60秒間で276.2度まで上昇することを確認し,今後は加熱用コイルを改良することでさらなる温度上昇を実現する.Fig.1のように本技術はレーザーを用いているため非接触式の強度実験法であり,さらには加熱装置も非接触法のため,サンプル寸法や設置など柔軟に対応できる特徴を有している. 2.2 供試材 炭素鋼SKD11平板(50 mm×70 mm×厚さ5 mm)を基材として,この表面に無電解Ni-Pめっき膜を製膜し,本供試材とした.これは,硬質膜のモデル材であり,めっき後の熱処理によって表面硬度が上昇することなどが知られている7),8).なお,成膜前の基材表面は鏡面まで研磨を施した.そして,パルスレーザー照射側,すなわち基材背面側および側面にはマスキングを施し,片面のみに厚さ25 μmとなるようにNi-Pを製膜した.具体的には,市販のめっき液を93度に加熱して浸漬し,6時間経過後に取り出して,純水およびアルコール洗浄を施した.成膜後の表面硬度は792 HVであった. の弾性波と干渉するため,理論的には界面に付与された引張応力を算出することは困難である.そのため,有限差分時間法(FDTD法)を用いた波動伝播シミュレーションから界面引張応力の算出を行った.FDTD法で用いたモデルの物性値をTable 1に示す.実際のLaSATにおける入力音 源はパルスレーザー照射によって誘起されるレーザーアブレーションであるが,これは複雑な物理現象であって厳密な解明は困難なため,実験的に直接求めることは不可能である.そこで,応答関数法を用いて実際の実験の入力音源を逆合成積的に求めた9)10).具体的には,あらかじめFDTD法によって特定の入力音源に対する出力(膜表面の面外変位波形)の応答関数を求めておき,これに基づいて実際の実験で得られた面外変位波形を逆合成積することで実験の入力音源を求めた.最後に求められた入力音源を用いて再度FDTD解析を行い,界面引張応力を算出した.詳細な方法は文献9)10)に記載されている. LaSATでは,基材内を伝播してきた弾性波が,膜の自由表面や音響インピーダンスの異なる界面で反射して後続− 183 −

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