助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:ポーラス金属,摩擦攪拌,サンドイッチパネル,曲率 1.緒言 ポーラスメタルは,非常に軽量で衝撃吸収性に優れており,自動車や,電車車両,工作機械などの軽量化の構造材料として利用拡大が期待されている1, 2).しかしながら,ポーラスメタルは引張りや曲げ強度が低く,また構造体への接合も難しいといった問題を有している.この点に関しては,ポーラスメタルに緻密な板材を接合し,サンドイッチパネルとすることで,ポーラスメタルの特徴を損なうことなく引張り・曲げ強度の向上を図ることが可能である.また,このポーラスコア部を持つサンドイッチパネルを実際に構造部材として適用する場合,種々の形状を付与できることが望ましいと考えられる. アルミニウム合金をポーラスコア部の出発材としたポーラスアルミニウムコアサンドイッチパネル(以下ポーラスAlサンドイッチと呼ぶ)の作製には種々の方法2 - 9)が提案されているが,本研究では,摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding, FSW)を用いた方法に注目した7 - 9).この方法では,FSWを用いてサンドイッチ構造を持たせたプリカーサの作製ができ,プリカーサを変形させた後に発泡させることにより,ポーラスAlサンドイッチに形状を付与することが可能性と考えられる.本研究では,基本的な付与形状として,サンドイッチ構造に曲率を持たせることを試みた.具体的には,ポーラスコア部の出発材としてアルミニウム合金ダイカストADC12,表面板としてA1050工業用純アルミニウムを用い,FSWを用いた方法によりサンドイッチ構造を持つプリカーサを作製した.はじめに,このプリカーサを発泡させ,平板型ポーラスAlサンドイッチを作製した.そして,その曲げ試験を,引張り圧縮試験機を用いて実施し,曲げ強度を調査した.その後,サンドイッチ構造を持つプリカーサに対して曲げ試験を実施し,プリカーサに曲率の付与を試みた.さらに,この曲率を付与したプリカーサを発泡させることによりポーラスAlサンドイッチとした.そして,これらの結果およびX 線CT 撮像の結果をもとに,表面材の接合強度や損傷特性およびポーラスコア部の気孔形態の評価を試みた. 2.サンドイッチ構造を持つプリカーサの作製 図1に,本研究で用いた,FSWを用いたサンドイッチ構造を持つプリカーサの作製工程の模式図を示す9).はじめに,図1(a)に示すように,2枚のADC12板材(板厚3 mm)芝浦工業大学 工学部 機械工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017021) 教授 宇都宮 登雄 の間に発泡剤(TiH2,<45 μm)と気孔形態安定剤(Al2O3,約1 μm)の各粉末を散布し,表面材となるA1050板材(板厚3 mm)に重ね積層板とした.TiH2およびAl2O3粉末の散布量は,FSWによる攪拌体積分のADC12の質量に対して,それぞれ,1 mass%および5 mass%とした.続いて,図1(b)のように,積層板の上からプローブ長さ4.8 mmのツールを回転速度1000 rpmで押込み,走査させた.このFSWで発生させた塑性流動を用いて,散布粉末(TiH2,Al2O3)をADC12板材内に均一攪拌させた.FSWでは,4列×4パスのマルチパス法を用いた.また,ツールの先端を,最終的にA1050板材に0.2 mm押込むことによりプリカーサと表面材を接合させた.その後,図1(c)に示すように,FSWを施したADC12積層板の上からさらにA1050板材(板厚3 mm)を重ね,プローブ長さ3.0 mmのツールを回転速度2200 rpmで,積層板表面から0.2 mm押込み,走査させた.このFSWも,4列×4パスのマルチパスで行った.これにより表面材と積層板を接合させ,ADC12積層板をコアとし,2枚のA1050表面材を接合したサンドイッチ構造の積層板を作製した. FSWには,摩擦攪拌接合装置(日立設備エンジニアリング SHH204- 720)を用いた.そして,このサンドイッチ構造の積層板から,図1(d)に示すように,機械加工によって長さ120 mm×奥行き15 mm×高さ10 mmのプリカーサを切り出した. − 176 −塑性流動と塑性変形を用いた形状変化を伴うポーラスメタルコア サンドイッチパネルの創製法

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