助成研究成果報告書Vol33
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2.4 まとめ 本実験で導き出した条件および手法で金属板を作製した結果,形状は山型となったが立体物を作製することができた.周囲の玉を抑制することが今後の課題であり,改善することで形状は平板になり,より高品質な積層物の製作が可能と考えられる. 積層造形では使用する粉末の状態,造形する際の敷設厚さが造形状態に大きな影響を及ぼし,圧縮することによりスを減少できる事がわかった. 3.金属シートを使用した積層造形と圧縮試験 3.1 実験の目的 (a)金属板 横面 さ硬スーカッビ0 (b)金属板 正面 (d)金属板の断面 (c)金属板の内部組織 (b)圧縮後 (a)圧縮前 表5に示す仕様のパルスレーザの照射パワー,走査速度を変化させて,金属シートが溶融してベースプレートに付着するための照射条件を検討する.シートの積層は,図図16に示す治具を用いて行う.中央にベースプレートを置き,両端の小板と底板の間に積層するシートを挟む.このとき,シートを引張りながらねじを締めることでベースプレートとシートを密着させる. (b)積層用サンプル (a)ジグの断面図 (5)塑性変形が積層造形した板材に与える影響 厚さ10 mmまで積層造形したサンプルの断面は十分溶融しているように観察されたが,図図13に示すように圧縮すると連続体の塑性変形というより,クラックを生じながらの破壊の様相であった.また,図図14に圧縮前後のスの状態を示す.図14(a)に示すように,圧縮前におけるスの形状を四角形に近似して算出した面積の合計は約0.87 mm2となった.続いて,図14(b)に示すように圧縮後のスの形状を円に近似して面積を算出すると,その合計は約0.41 mm2となった.従って,圧縮前後で約52.9%のスの減少を確認できた.一方,図図15に圧縮前後の硬さを示すが,硬さ値にはあまり変化は見られなかった.これは,圧縮作用の大半がサンプル内部のスを潰す事に働いたためと考えられる.このことから,積層造形し圧縮する事によってスの少ない板材を作製する事が可能であると推察される. 要因として積層造形で形成される玉が挙げられる.金属粉末には酸化膜があり,溶融した際,界面張力が大きくぬれ性が悪いため溶融金属が球形となり凝固したと考えられる.影響はレーザ照射の周囲にも及び,外周は丸みを帯びた状態になる.そのため,スキージングを行うと照射範囲外周に形成された玉の付近には金属粉の敷設が困難である.したがって,照射面積は徐々に減少し,造形物の形状が山型になってしまったと考えられる.また,断面の組織観察を行ったところ,空隙が多くあった.玉及び空隙を減少させるには,金属粉末の積層厚さを薄く均一化すること,レーザヘッドと照射対象物との焦点距離が重要である.また,レーザ照射を行う際,一回目に低出力で外周を照射し金属粉を焼結させる.その後,最適条件を照射することで,造形物の形状は改善すると考えられる.本実験では金属粉末のスキージングや焦点距離の調節も自動ではなかった為安定した造形が困難であった. 図図12 作製した金属板 図図13 圧縮後の様子 7060504030201012前後T1試験片図図14 条件T2で作製した板材の圧縮前後のスの状態 金属積層造形を行う際は,シート形状の金属を用いることで均一な厚さで積層を繰り返すことができる. 本節では,金属シートを用いた積層造形による金属板の作製に着目し,その加工特性の究明と,作製した金属板へ圧縮を施し,その効果を検証することを目的とする. 3.2 金属シートを溶融するレーザ照射条件の検討 100 m 図図16 積層造形用のサンプル作製 100 m 7834前後前後T2試験片H1試験片H2試験片図図15 各条件で作製した板材の圧縮前後の硬さ 56前後− 174 −

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