助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:積層造形,微細結晶粒,圧延 1.圧延が積層造形したチタン合金板に及ぼす影響 1.1 実験の目的 積層まま材 積層後圧延材 市販材(参考) 積層まま材 積層後圧延材 市販材(参考) 05 aP M / ⼒ 応 称 公 図図2 積層まま材と積層後圧延材の公称応⼒―ひずみ線図 C< 800 ppmN< 500 ppmO< 2000 ppmV3.5 –4.5 (Wt.-%)近年,金属積層造形の普及が進み,様々な分野で適用されつつある.積層造形では,造形物の形状に制限がない点が最大の利点であり,形状に機能があるような複雑・高付加価値部品などの造形に向いている1).また,局所的な加熱・冷却を繰り返して造形しているため,従来の鋳造や熱処理に比べて,温度変化が速いと考えられ2),造形物の内部組織が非常に微細であるという報告もなされている3).微細な結晶粒を有する材料は,高強度と高延性の両立が可能であると考えられている.そこで,積層造形と塑性加工を組合わせた,超微細結晶粒を有する素材の製造プロセスを検討している.主に,積層造形した微細結晶粒素材に塑性加工を施した場合における材料の機械的性質の変化について把握し,高強度と高延性を両立した素形材の製造につながる知見を得ることを目的にしている.本研究では,積層造形で造形した板材に対して圧延加工を施した際の機械的性質の変化について検討したので,その内容を報告する. 1.2 実験方法 積層造形に用いた粉末はチタン合金(Ti-6Al-4V)である.化学組成を表表1に示す.また,比較のため,アルミニウム合金(Al-10Si-0.45Mg)とマルエージング鋼の粉末で造形した板材を用意した4).レーザタイプの金属積層造形機であるEOSINT-M280を用いて,図図1に示すように,板厚方向に造形する造形方向で板材を作製した. 板材の寸法はL210×W70×t7とし,一度の造形で3枚の板をアルゴン雰囲気中で造形した.積層ピッチは0.3 mmとし,金属粉の粒度は25 mにピークを持つ20~50 mの範囲の金属粉を用いた.積層造形後はベースプレートごと取り出し,ワイヤ放電加工により,板材をベースプレートから切り離した.切り離した結果,板厚は6 mmに減少した.切り離した板材に対して,材料温度500℃,ロール温度100℃の温間で1パス当たりの圧下量を0.1 mmとして圧延加工を施した.一方向圧延を繰り返すことにより,3.5 mmの厚さまで加工した.圧延後の板材から引張り試験片をワイヤ放電加工により切り出した.把持部の幅を25 mmとし,板厚によって平行部の幅を変化させた.板厚が6 mm(積層まま)の場合は,平行部の幅を9 mmとし,板厚が3.5 mm(圧延加工後)の場合は,平行部の幅を15 mmとした.把持部と平行部は半径7.5 mmの円弧でつないだ形状とした.試験片の長さは50 mmとし,把持部の長さは15 mmずつとした.試験片にひずみゲージを貼付し,引張り速度を0.1 mm/min(ひずみ速度0.010 ~ 0.012/min)として引張り試験を実施した.さらに,積層造形ままと圧延後の板材から幅と長さがそれぞれ10 mm程度の小片を切り出し,樹脂固めして断面を研磨した後,板の表裏両側の表層部と中心部においてマイクロビッカース硬度を3点ずつ測定しその平均値を算出した.硬さ試験後,再研磨して蒸留水100 mlに対して,フッ酸を2.5 ml,硝酸を5 mlずつ配合したクロール液により,内部組織を腐食して観察した.また,アルキメデス法により,積層造形まま,および圧延後の板材の密度を測定した. 1.3 実験結果 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017020) 主任研究員 梶野 智史 引張り強さ T MPa 1332 1320 1000 引張り強さ T MPa 1168 1819 1240 破断ひずみ % 11.7 16.2 10 ~ 14 破断ひずみ % 18.9 5.3 2 Laser70mm7mmBase plateAl5.5 -6.75 (Wt.-%)表表1 チタン合⾦(Ti64)の化学組成 H<150 ppm図図1 積層造形のポンチ図 引張り試験の結果を図図2に示す.線図は試験中におけるひずみゲージの途中剥離が遅く比較的伸び値が測定できたサンプルの公称応力‐公称ひずみ曲線を示している.途中でひずみゲージが剥離してしまったサンプルを含め,破断後に試験片を突合せて,破断ひずみを測定した.その結果を表表2,,表表3,,表表4に示す4). 16001400120010008006004002000Fe< 3000 ppm(チタン合⾦) 表表2 チタン合⾦(Ti64)の機械的特性 公称ひずみ  % 表表3 マルエージ鋼の機械的特性 10積層まま材 積層後圧延材 1520− 171 −微細結晶粒を有する高靭性な軽量化材料の製造に向けた積層造形と圧延の連続加工の開発

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