助成研究成果報告書Vol33
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 粒界を含む双結晶試験片から,粒界はひずみ硬化 試験片の断面寸法減少に伴う降伏強度の上昇をべき乗則により整理しところ,得られた指数は先行研究と整合性のある結果となった. 図5に,断面の一辺が5, 10, 20 m(グラフには初期断図5 CRSS と単結晶試験片の断面寸法の関係.  自主開発したマイクロ圧縮試験装置は,マイクロオーダーの微小試験片について,応力—ひずみ関係を良好に取得できることがわかった. 面積の平方根で表示)の試験片の■11■1■■101■■すべり系での臨界分解せん断応力(CRSS)(1%耐力時点の値)を示す.初期断面積が小さいほどCRSSは上昇しており,明瞭な寸法依存性が発現している. これらのプロットをべき乗則により近似したところ,指数は –0.696であった.同様の実験を実施した過去の研究における純アルミニウムの単一すべり試験片による指数は–0.761 6),–0.921 7)であり,本試験結果はこれらに近似した結果となった. 5. 結言 本研究では,低コストでマイクロピラー圧縮試験が実施できる試験装置の開発を行い,純度99.99%のアルミニウムを用いて, 結晶粒界の特性と寸法効果現象の発現について調査を行なった. 量を増大させる効果があることが示された. 既往の研究4),8),9)と本研究で扱っている粒界は,完全焼鈍あるいは結晶成長過程で生成された粒界である.室温で巨大ひずみ加工を施すと結晶粒が微細化されることが知られているが,そのように生成された粒界の性質はこれまで直接的に調べられていない.緒言でも述べたが,巨大ひずみ加工材では,結晶粒径とバウシンガー効果挙動に大きな相関がないことから,粒界が転位運動の障壁にならない可能性が間接的に示されている.著者らが追加で行った同様の試験17)でもこの知見を支持する結果が得られている.本研究で開発したマイクロ圧縮試験法を用いれば,巨大ひずみ加工で生成された粒界の特性を直接調べることができる.本研究の今後の課題は,生成過程の異なる粒界ごとの力学的性質を調べることである. 1) T. Koizumi, K. Kuroda, Mater. Sci. Eng. A 710 (2018), 300-308. 2) T. Koizumi, K. Kuroda, Key Eng. Mater. 725 (2017), 202-207. 3) M.D. Uchic, D.M. Dimiduk, J.N. Florando, W.D. Nix, Science 305 (2004), 986-989. 4) K.S. Ng, A.H.W. Ngan, Philos. Mag. 89 (2009), 3013-3026. 5) 竹安崇一郎, 高田尚記, 鈴木飛鳥, 小橋眞, 軽金属 68 (2018), 250-256. 6) D. Kiener, C. Motz, M. Rester, M. Jenko, G. Dehm, Mater. Sci. Eng. A 459 (2007), 262-272. 7) C.A. Volkert, E.T. Lilleodden, Philos. Mag. 86 (2006) , 5567-5579. 8) N.V. Malyar, J.S. Micha, G. Dehm, C. Kirchlechner, Acta Mater. 129 (2017) 312-320. 9) A. Kunz, S. Pathak, J.R. Greer, Acta Mater. 59 (2011) 4416–4424. 10) N. Takata, S. Takeyasu, H. Li, A. Suzuki, M. Kobashi, Mater. Sci. Eng. A 772 (2020), 138710. 11) 足利谷 崇史,佐竹 忠昭,村澤 剛, 銅と銅合金 59(2020) (印刷中) 12) 小泉隆行, 黒田充紀, 銅と銅合金 55 (2016), 27-31. 13) T. Koizumi, K. Kuroda, J. Phys.: Conf. Series 1063 (2018), 012167. 14) M. Kuroda, V. Tvergaard, J. Mech. Phys. Solids 56 (2008), 2573-2584. 15) M. Kuroda, J. Mech. Mater. Struct. 12 (2016), 193-218. 16) 小林星司,小泉隆行,村澤剛,黒田充紀,塑性加工連合講演会, 123-124(2019.10.12~10.13,日本大学津田沼キャンパス〔悪天候により中止となったが発表の扱い〕) 17) 鹿勇太,小泉隆行,黒田充紀,塑性加工連合講演会, 361-362(2019.10.12~10.13,日本大学津田沼キャンパス〔悪天候により中止となったが発表の扱い〕) 本研究は,公益財団法人天田財団一般研究開発助成 (AF-2017018)により実施したものである.ここに記して深甚なる謝意を表す.試験機開発の基本構想は,山形大学教授 村澤剛氏のアイディアが元になっている.試験機の設計・作製には,職業能力開発総合大学校助教 小泉隆行氏に多大なる協力を得た.試験片の作製と試験の実施については,山形大学大学院生 小林星司氏の努力によるところが大きい.ここに記して謝意を表する. 謝 辞 参考文献 − 166 −

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