助成研究成果報告書Vol33
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② ③ 結晶粒を粗大化させるため,300°C,1時間で焼なま 3. 実験条件 3・1 供試材 供試材は板厚1.0 mm,純度99.99%のアルミニウム板を用いた.圧延方向(RD)及びその面内直角方向(TD)210 mmの板材内から,各方向5 mmの正方形板をワイヤーカット放電加工機により切り出した.マイクロピラー図2 作製直後の双結晶マイクロピラー試験片 (“Pillar-cd”). 4. 実験結果と考察 4・1 単結晶と粒界を含む双結晶ピラーの挙動 図2に示した双結晶マイクロピラー試験片(“Pillar-cd”)とそれぞれの粒から作製した単結晶マイクロピラー試験片(“Pillar-c”, “Pillar-d”)の公称応力-公称ひずみの関係を図3に示す.これらの試験片の変形後のSEM画像を図4に示す.Pillar-cは局所的に単一すべりが生じており(図4a),ひずみ硬化挙動は確認できない(図3).Pillar-dはSchmid factor値(表1)からは,異なるすべり面での二重すべりが期待できるが,ひずみが3%を過ぎたあたりからひずみ硬化挙動が見られる(図3). 双結晶のPillar-cdは,単結晶のPillar-c,Pillar-dよりもやや高い初期降伏応力を呈し,ひずみ硬化は単結晶に比べて大きい.双② 方位差が25以上の1組の双結晶を候補として選定③ その1組の双結晶に対して,粒界がほぼ中心に来るように,FIB(JEOL JEM-9320FIB)を用いて,公称寸法比がX:Y:Z = 1:1:2の四角柱状の試験片を切出す.X方向,Y方向の1辺の長さは5 mを目標値とした.切出してみて初めてZ方向の粒界の様子がわかる.粒界がほぼZ方向に沿って試験片を二分するように貫通していれば双結晶マイクロピラー試験片の作製は成功である.粒界が都合よく垂直(Z方向)に現れることは稀であり,多くの場合は角度 00 ④ 仕上げ研磨として,過塩素酸とエタノールを1:4の割合で混合した電解液を–30 °Cまで冷却し,電解研磨を2分間実施した. ]aPM[ sserts lanimoN 図3 マイクロ単軸圧縮試験によって取得された公称応力—公称ひずみ関係. 試験片作製時の容易な結晶方位測定と,圧縮試験時のアクチュエータと試験片との接触面摩擦の抑制のため,以下の手順で板材表面の平滑化処理を実施した. ① 耐水研磨紙を用いて,#1000,#1500,#2000の順で機械研磨を行った. 2種類のアルミナ懸濁液(1.0 m,0.3 m)を用いてバフによる鏡面研磨を行った. しを実施した. 3・2 マイクロピラー試験片の作製 マイクロピラー試験片は,方位差が25以上となる隣り合う2つの結晶粒から作製することを目標に,以下の手順に従い作業した. ① SEM/EBSD(JEOL JSM7600-FA)を用いて,供試材内の多数の結晶粒の形状(板面上の2次元形状の情報のみ取得可能)とEuler角を測定する. する. を持って,試験片表面に達してしまう.この場合には②に戻って作業をやり直す. 作製に成功した双結晶マイクロピラー試験片のSEM画像を図2に示す.粒界は試験片上面のほぼ中央に位置しており,高さ方向にはほぼZ方向に沿って現れている.これらのことから概ね粒界が試験片体積を2分していると判断できる.双結晶マイクロピラーを構成する2つの結晶粒の方位情報を表1に示す.■ は圧縮軸とすべり面法線方向とのなす角度,■ は圧縮軸とすべり方向とのなす角度を表している. 結晶マイクロピラー試験の過去の実験研究では,大傾角粒界がひずみ硬化を増大させる効果を持つとするもの4)8)と,力学挙動に大きな影響を与えないとするもの9)に見解が分かれていた.本実験結果は,前者を支持している.高次勾配結晶塑性論14)は,粒界の存在によって幾何学的必要転位(GND)の密度に空間勾配が生じ,これに起因する長範囲内部応力が見かけのひずみ硬化を増大させるという予測を与えている15).本実験結果はこの予測とも整合するものである. 100806040201% proof stress0.020.04c 5.16×5.38 µm2d 5.20×5.20 µm2cd 5.07×5.07 µm20.06Nominal strain [-]0.080.1− 164 −

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