助成研究成果報告書Vol33
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■■■■■■■■■■■■■1■■■1■■■ ■■■■■■■■ ここに,■■■■■は試験片の正味変形量,■■■■はアクチュエータの伸縮量,■は圧縮試験荷重,■■は全体(試験機及び試験片)の軸剛性,■■は試験片の弾性軸剛性,Eは試験片ヤング率,■■は試験片初期断面積,■■は試験片初期長 図1 自主開発したマイクロ圧縮試装置の模式図. 開発を行った.本装置の基本構造は,先行研究11)を参考にした.図1に示すように,ロードセル上に設置した試験片を,直流電源装置の制御によって伸長させた積層圧電アクチュエータの先端に取り付けられたダイヤモンド圧子(平坦円柱)で圧縮し,その時の荷重—アクチュエータ伸縮量関係を取得する.これにより,概ね市販装置の1/10程度のコストで十分な試験精度を有するマイクロ圧縮試験の実施が可能である. 本装置では,試験片の伸縮量を直接測定する仕組みは取り入れていない.アクチュエータと試験片の伸縮量を等価と仮定することで圧縮ひずみの算出を行う.この方法ではひずみ値を直接測定しないので,その算出方法と精度には注意が必要である.一般に,上下台座を用いて試験片を圧縮する古典的な単軸圧縮試験法においては,クロスヘッド移動量を試験片の伸縮量と見なしてしまうと,ひずみの測定精度が大幅に低下することが知られている12).ここでは,実験によって得られた荷重-アクチュエータ伸縮量関係の生データに対して,式(1),(2)13)を用いて,試験機剛性による変形の影響を除去し,ひずみ値の精度向上を図る. さである. 1. 緒言 キーワード:マイクロ圧縮試験,結晶粒界の力学的特性,寸法効果,結晶塑性 金属材料強化機構の一つである結晶粒微細化強化,すなわちホールペッチの法則は,結晶粒界が転位運動を阻害することで生じると考えられてきた.著者らはこれまでに,巨視的な材料試験や測定から,粒界は加工履歴や焼鈍条件等の違いに応じてその性質が変化することを示唆している1).巨大ひずみ加工まま材では,結晶粒径とバウシンガー効果挙動に大きな相関がないことから,粒界が転位運動の障壁にならない可能性を示してきた2).近年では,マイクロメートルオーダーの試験片を対象としたマイクロ圧縮試験に関する研究が盛んに行われており3)〜10)など,結晶粒界の力学的特性を直接的に評価することが可能となりつつある.しかしながら,既往のマイクロ圧縮試験には比較的高額な試験装置が用いられてきたこともあり,実験データの蓄積が十分とは言えず,粒界の力学的性質に関する学術的知見が確立するには至っていない.加工履歴や熱処理履歴が異なる粒界の力学的特性を解明することは,塑性加工性と強度とのバランスに優れた次世代の材料開発に大きな指針をもたらすと考えられる. 本研究では,まず,低コストにマイクロ圧縮試験が実施できる試験装置の開発を行う.その後,収束イオンビーム(FIB)加工を用いて,高純度のアルミニウムからマイクロピラー試験片を作製し,単軸圧縮試験を実施する.粒界を含む双結晶試験片を用いて粒界の力学的性質を,粒界を含まず寸法のみ変化させた単結晶試験片により寸法効果現象の発現について調べた. 2.マイクロ圧縮試験装置の開発 マイクロメートルオーダーの寸法を有する試験片の単軸圧縮試験を行うためには,ナノインデンターなどの市販の実験装置を応用することが一般的である3)〜10).これらの既製品としての装置は比較的高額であり,必ずしも導入が容易ではない.結晶粒とそれらの境界である粒界の力学的特性を個別に調べるためには,直接的な試験による実験データの蓄積が重要である.低コストでマイクロ圧縮試験が実現できる環境を整えればこの方面の研究が飛躍的に進むことが期待できる.ここでは,まず,低コストで高精度にマイクロ圧縮試験が実施できる装置の山形大学 大学院理工学研究科 機械システム工学分野 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017018) 黒田 充紀 (1) (2) − 163 −巨視的及び微視的な材料試験を併用した 結晶粒界の力学的特性解明に関する研究

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