4.結 言 D D 2謝 辞 参考文献 疲労寿命の関係を調査した.その結果,Δεcrは疲労寿命と高い相関を示し,SACはんだの疲労寿命評価用パラメータとして,極めて有用であることが判明した. 本研究では,Δεcrは,疲労破面のフラクタル次元とも相関を示す可能性があると考え,図7に示したすべてのフラクタル次元と,それぞれに対応するクリープひずみΔεcrの関係を調査した.その結果を図10に示す.図10中に示すように,フラクタル次元DとΔεcrの相関係数の大きさ|r|は0.142と小さく,ほとんど相関はみられない.したがって,Slow-Fastのフラクタル次元がFast-Slowよりも高い値を示すことに対して,クリープ変形が寄与する度合いは小さいと考えられる.そこで次に,このことに対する塑性変形の影響について調査することとした. 図11は,5サイクル目の引張側で生じた塑性ひずみである塑性ひずみ振幅Δεpl(図8(b),図9(b)参照)とフラクタル次元Dの関係である.図11に示すように,これらの間には|r|=0.755と強い相関がみられ,その関係は次式で表される. 2pl図11と式(2)より,塑性ひずみ振幅Δεplが増加するとフラクタル次元Dが減少することがわかる.また,図12はDとΔεpl/Δεcrの比の関係であるが,図10でクリープひずみ振幅Δεcrとフラクタル次元Dの間にほとんど相関がみられなかったこともあり,Δεpl/ΔεcrとDの間にも|r|=0.713での相関がみられる.そして,その関係は次式で表される. 図12と式(3)より,Δεpl/ΔεcrもΔεplと同様に,その値が増加するとDが減少することがわかる. 式(2)と(3)は,疲労き裂の進展に対して塑性変形が関与する度合いが増すと,破面性状の複雑さが小さくなることを示唆している.さらに,式(3)は,破面のフラクタル次元を評価することにより,繰返し負荷で生じる非弾性ひずみ中の塑性ひずみとクリープひずみの構成比が把握できる可能性も示唆している.すなわち,緒言で述べた疲労破面観察による弾・塑性・クリープFEAの精度の検証が可能になることを示唆している.ただし,式(2)と(3)は,破面の観察領域の大きさによっては,成立しないことも起こり得る.したがって,今後は,破面観察領域の大きさとフラクタル次元との関連についても調査していく必要がある. 本研究では,Fast-SlowとSlow-Fastの引張・圧縮繰返し負荷によるSACはんだ疲労破面のフラクタル次元を負荷条件毎に求め,各条件に対応する塑性・クリープひずみ解析結果とフラクタル次元の相関関係について検討した.その結果,以下の結論を得た. (1) 破面を1辺aの立方体で曲面を被覆するボックスカウンティング法により,疲労破面を曲面として扱うフラクタル次元解析を実行することができた. (2) ひずみ振幅と周期が等しいFast-SlowとSlow-FastによるSACはんだの疲労破面では,Slow-Fastによる破面の方が高いフラクタル次元Dをもつ.ただし,その差は小さい. (3) Fast-SlowとSlow-Fastでの引張・圧縮繰返し負荷によるSACはんだの疲労破面のフラクタル次元Dは,負荷5サイクル目の引張側で生じるクリープひずみΔεcrとは,ほとんど相関を示さない.これに対し,同じ5サイクル目引張側で生じる塑性ひずみΔεplおよびΔεpl とΔεcrの比Δεpl /Δεcrとは,強い相関を示し,これらの値が増加するとDの値は減少する. (4) 結論(3)のフラクタル次元DとΔεpl /Δεcrの関係式は,疲労破面観察による弾・塑性・クリープFEAの精度検証に活用できる可能性がある.しかし,上記関係式は疲労破面の観察領域によって成立しないことも(2) 考えられるため,観察領域の大きさとフラクタル次元との関連を今後詳しく調査する必要がある. 本研究は,公益財団法人天田財団の平成29年度一般研究開発助成の援助を受けて実施しました.ここに深く感謝の意を表します.また,本研究の遂行に際しては,秋田県産業技術センター研究員の黒沢憲吾氏,秋田大学大学院理(3) 工学研究科助教の福地孝平氏,秋田大学卒業生の古舘一徳氏にご尽力いただきました.心より感謝申し上げます. 1)Ohguchi, K. and Sasaki, K.: ASME Journal of Electronic Packaging, 132, (2010), 041003. 2)Ohguchi, K. and Sasaki, K.: ASME Journal of Electronic Packaging, 132, (2010), 041010. 3)Ohguchi, K., Sasaki, K., Yuze, Y. and Fukuchi, K.: Mechanical Engineering Journal, 6-5 (2019), Paper No.19-00137. 4)石村貞夫・石村園子:フラクタル数学,(1990),238,東京図書 5)池庄司敏孝・塩屋義:日本機械学会論文集(A編),64-623 (1998),1984-1990. 6)酒井孝・酒井達雄・上野明:日本機械学会論文集(A編),66-652 (2000),2183-2190. 7)Tanaka, M., Kimura, Y., Kayama, A., Kato, R. and Taguchi, J.: ISIJ International, 44-7 (2004), 1250-1257. 8)佐藤あゆみ・山田寛次・石山智:日本建築学会構造系論文集,79-698 (2014),437-444. plcr2.6010Δ1.0910(Δ2.13/Δ)2.13− 162 −
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