助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:塑性,クリープ,疲労,破面解析,フラクタル次元 ΔeDεicεが適切であることが必須となる. 分cieσpp11.研究の目的と背景 低サイクル疲労寿命の予測には,非弾性ひずみ振幅(Δ)を用いたCoffin-Manson型の寿命予測式が広く用いられている.一方,はんだのような粘塑性材料では,寿(Δ)をそのまp(Δ)とクリープ成(Δ)に分けて用いる寿命予測式を使用した方が予測精度は高いことが知られている.繰返し粘塑性変形によるin命予測のパラメータに非弾性ひずみ振幅ま用いるのではなく,それを塑性成分低サイクル疲労の発生が予想される機械部品の設計では,弾・塑性・クリープFEAを実行することが多い.この場合,非弾性ひずみinεは塑性成分pεとクリープ成分cεに分けて算出されるため,塑性・クリープ分離型の寿命予測式の使用が可能となり,寿命予測精度の向上が期待される.しかし,その精度を保証するには,inε中のpεとcεの構成比p/ε弾・塑性・クリープFEAのある計算ステップ終点での応cεのように求めらε(ΔΔ)}力1iσは,れる(eD:弾性テンソル,eiε:計算ステップ始点での弾性ひずみ,Δε:全ひずみ増分,pΔε,cΔε:計算ステップで算出された塑性ひずみ増分,クリープひずみ増分).通常,機械部品のFEAを実行する前には,その解析精度を担保するために引張試験や繰返し負荷試験などのFEAを実行し,そこで得た応力-ひずみ曲線が実験と一致することを確認する.しかし,上記の式からわかるように,ここでの応力の一致は,算出した非弾性ひずみ増分cεの大きさが妥当であることを示すものでεεΔ=Δあり,inΔε中のpΔεとcΔεの構成比が妥当であることを示すものではない.したがって,塑性・クリープ分離型の寿in命予測式を用いた高精度の低サイクル疲労寿命予測を可能とするには,弾・塑性・クリープFEAで算出されたinε中のpεとcεの構成比pcεが妥当であることを確認する/εための何らかの手段が必要となる. 報告者は,瞬間的負荷とひずみ保持を繰返す階段負荷により,繰返し負荷で生じる非弾性ひずみの発達挙動を塑性ひずみとクリープひずみに分離して解析する方法を提案している1).そして,この方法をSn-3.0Ag-0.5Cu(SAC)はんだの引張・圧縮繰返し負荷による疲労試験での非弾性ひずみ解析に適用している2),3).その中で,周期とひずみ振幅が同一で引張側と圧縮側のひずみ速度を入れ替えた,Fast-SlowとSlow-Fastの各負荷について塑性・クリープ秋田大学大学院 理工学研究科 物質科学専攻 材料理工学コース (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017017) 教授 大口 健一 ひずみ解析を実施したところ,き裂が開口する引張側において,Fast-Slowでは塑性ひずみが蓄積し,Slow-Fastではクリープひずみが蓄積することが判明した2).また, Fast-Slowの破面では塑性変形に由来するストライエーションが,Slow-Fastの破面ではクリープ変形に由来する顕著な凹凸が認められ,この解析結果が妥当であることを確認することができた3).これらのことは,疲労破面性状と負荷中に生じた塑性・クリープひずみ量の対応関係を明らかにすれば,負荷で生じた塑性ひずみとクリープひずみの構成比pcεの推定が,破面観察により可能になること/εを示唆している.そして,これを可能とするには,まず,破面性状を定量化する方法を確立する必要がある. そこで本研究では,Fast-SlowとSlow-Fastでの疲労試験で破断したSACはんだ試験片の破面性状をフラクタル次元で定量化することを試みた.すなわち,Fast-SlowとSlow-Fastによる疲労破面の3次元凹凸状態を表すコンター図を複数の条件について作成し,各図のフラクタル次元を求めた.そして,それらの値を比較して破面性状の複雑さを評価すると共に,各破面に対応する塑性・クリープひずみ解析結果とフラクタル次元の相関関係について検討した. 2.実験方法および破面解析方法 2・1 試験片および観察方法 本研究で疲労破面を観察した試験片は,外径8mm,標点部長さ18mmの円柱状の試験部をもつSACはんだ試験片である1~3).破面を得た疲労試験は,前述のFast-SlowとSlow-Fastの引張・圧縮繰返し負荷によるものであり,すべて室温で実施した.その負荷条件を表1に示す. 表1中のttとtcは,それぞれ,引張りと圧縮に要する時間である.試験番号1-2,3-4,5-6,7-8の各ペアは,周期とひずみ振幅が同一でttとtcを入替えた負荷条件の組合わせとなっている.すなわち,各ペアは,ttがtcよりも短いFast-Slowと,ttがtcよりも長いSlow-Fastの組合わせとなっている.また,表1のNfは,各負荷条件での疲労寿命であり,これらを上述のペアで比較すると,いずれもSlow-Fastの方が短寿命となることがわかる. 疲労破面の観察には,デジタルマイクロスコープ(OLYMPUS DSX-500)を用いた.この顕微鏡が有する3Dフォーカス機能を用いて,破面の凹凸状態を表す3D画像とコンター図を作成した. ε:{+Δin− 157 −塑性・クリープ分離破面解析法の開発と 弾・塑性・クリープFEAの精度検証への応用

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