助成研究成果報告書Vol33
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図2に実験装置を示す7).ピン形状は短辺(x方向)2.8 mm,長辺(z方向)6 mm,高さ70 mmである.先端にはz方向に半径1 mmの面取りし,x方向には先端半径rを設けた.rは4 mm,8 mm,12 mmの3種類である.ピンはHRC 37~43のプリハードン鋼で製作した.供試体はアルミニウム合金A7075-T6材(降伏応力:506 MPa)である.板厚hは5 mmであり,幅50 mm,長さ50 mmである.供試体は固定し,1 s間ピーニングを行った後,供試体をx方向に送りピッチPx= 1 mmで移動して供試体の全長を1ライン施工する.その後,z方向に送りピッチPz= 4 mm(ピンの平行部の長さ)移動して,再び,Px= 1 mmで移動を繰り返し,全面にピーニングを行った.Pz= 5,6,7,8 mmについても実験を行った.ピーニング後に未施工部(固定のための抑え部)を切断し,レーザ形状計測図2実験装置外観7)図1直方体ピンを用いた時の方向と曲率半径Rx,Rz)■.研究の目的と背景(a)曲率半径(Rx,Rz)キーワード:インクリメンタルフォーミング,ピーン成形,ハンマリング,アルミニウム合金ピーン成形は鋼球を板表面に衝突させ,表面近傍に塑性ひずみを与えることにより,金属を成形する手法である.主に,航空機の主翼外板の成形が適用されている1)~5).主翼外板の形状は球面,鞍型,単曲面に近い形状など複雑な形状で形成されている.しかし,球を用いた通常のピーン成形では発生する塑性ひずみは軸対称であり,変形も球面となる傾向がある.このため,マスキングを行ってピーニング領域を限定したり,場所ごとに異なるサイズのショットを用いており,煩雑な成形準備が必要である.また,単曲面に近い形状では,主翼外板に予め応力を付与してピーニングを行うストレスピーン成形法が適用されている5).ストレスピーン成形法は治具の設置など多大な時間が必要となる.近年では鋼球を衝突させる代わりに超音波ピーニングでピンを繰り返し衝突させる手法がピーン成形に適用されている4)が,ピンの形状は円柱であり,軸対称に変形するという問題は解決されていない.直方体ピンを用いたピーニングでは図1に示すようにx方向(直方体ピンの短辺方向)とz方向(直方体ピンの長辺方向)で発生する塑性ひずみの大きさを変化させることが可能で,成形形状のx方向曲率半径Rxとz方向曲率半径Rzが異なる異方性(Rx< Rz)を持った成形形状を得られる可能性がある6).本研究では電動ハンマを用いて,直方体ピンを供試体に投射する振動ピーニングを用いたピーン成形において,曲率半径の異方性付与(Rx< Rz)を実験により確認するとともに,数値解析による成形形状の予測手法を検討した.とピン送りピッチ(Px,Pz)の定義(b) ピン送りピッチ(Px,Pz)東海大学工学部動力機械工学科(平成 ■年度一般研究開発助成■■■ ■■■■■■)准教授太田高裕 .実験方法本研究では周波数と振幅が安定している電動式ハンマを用いた.ハンマはモータに接続されており,ハンマの周波数は50 Hz,振幅は10 mmである.ハンマと供試体に打ち付ける直方体ピン(以下,ピンと略す)は固定されておらず,ピンはハンマと衝突することで運動をはじめ,供試体とハンマの間を往復運動する.ピンはガイド穴に沿って,供試体に直角に衝突する.ピンの運動エネルギーのみでピーニングを制御できるので,ピン形状とハンマの位置のみで施工管理ができる.また,反力制御が不要のため,装置構成も簡単にできる.機を用いて,変形形状を計測した.(a)装置全体(b)加工部拡大− 148 −振動ピーニングを用いたピーン成形における複曲面形状成形の制御

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