図5 押出材および押出・圧延材の算術平均粗さ 図6 押出材および押出・圧延材のビッカース硬さ 3.2 表面粗さ 図5に押出材および押出・圧延材の算術平均粗さを示す.圧延温度375℃の結果を示す.油圧プレスを用いて行った同条件での押出材お表面粗さは,算術平均粗さRa20μm程であったが,本研究でサーボプレスを用いたことにより押出材の表面粗さは,算術平均粗さRa2μm程と大幅に改善した.図4に示したように,押出・圧延材は押出材の表面にあったくぼみはなくなった.押出・圧延材の表面粗さは算術平均粗さRa1μm程と,押出材の算術平均粗さRa2μm程と比べ,圧延を行ったことによりさらに改善した.これは,厚さ4mm(押出比R13)~厚さ6mm(押出比R9)の押出材を,厚さ2mmまで圧延を行うと圧下率50%~67%となり,圧延による表面の圧縮の影響で表面粗さが改善されたのではないかと思われる. また,押出比による算術平均粗さの影響は認められなかった.本実験の押出比は9~13で,この押出比の範囲では,表面粗さに大きな影響を及ぼさないのではないかと思われる. 3.4 ビッカース硬さ 図6に押出材および押出・圧延材のビッカース硬さを示す.圧延温度375℃の結果を示す.押出材のビッカース硬さは,押出比の大小に関わらず,平均値が33HV程でほぼ一定となった.押出・圧延材のビッカース硬さも圧延前の押出比に影響はないが,平均値37HV程と,押出材に比べ硬くなった.これは,真空蒸留・押出後,圧延を行ったことで,結晶粒が微細になり硬くなったと思われる. 図7に押出・圧延材のビッカース硬さを示す.押出比R13で押出加工後の圧延温度75℃~400℃の結果を示す.ビッカース硬さは圧延温度125℃の46 HVから圧延温度400℃の37 HVに減少した.これは,圧延温度が上がると再結晶する割合が増えたためだと思われる.逆に低い圧延温度で加工することで,加工硬化が起こりやすくなり,硬くなったのではないかと思われる.また,圧延温度75℃の押出・圧延材は他の試験片と比べ,著しく表面性状が悪く,材料内部にも欠陥が多く存在すると予想され,硬さに何らかの影響を与えていると思われる. 3.5 引張特性 図8に押出・圧延材の引張特性を示す.圧延温度375℃の結果を示す.圧延方向に対して0°方向および90°方向の結果を示す.押出比Rの違いも示す.引張強さは押出比による違いはなかったが,0°方向は130 MPa程,90°方向は175MPa程と異方性が認められた.マグネシウムは圧延等の塑性加工を行うと最密六方構造の結晶の底面主体のすべり変形が起こり,底面主体の集合組織になることが知られている1).底面主体の集合組織で,すべり方向が圧延方向に平行になっていることが予測される.したがって,圧延方向に対し90°の方向は,すべり方向に対して90°の方向となり,引張強さが大きくなったのではないかと思図7 押出・圧延材のビッカース硬さ 図8 押出・圧延材の引張特性 − 142 −
元のページ ../index.html#144