キーワード:バニシング加工,表面改質,組織制御 1.研究の目的と背景 2.実験方法 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017011) 図3 制御システムの構成 マグネシウム合金は比強度が高い合金として,自動車,飛行機,スポーツ用品,インプラントなど多岐に使用されている1).しかし様々な用途に応じてマグネシウム合金の高性能化及び長寿命化を実現するには,引張強度・疲労強度・耐摩耗性・耐腐食性など様々な機械的性質を高める必要がある.従来主流であった合金化による材料特性の改良は,希土類元素の供給不安定,およびリサイクル性に問題がある.一方,金属熱処理などの結晶制御加工は,板材のような素材の一次加工に適用されているが,様々な形状を有する製品の二次加工には適用されていない.そこで,様々な製品形状において,任意の部分の結晶組織および材質を自在に制御できるバニシング加工が期待されている. バニシング加工は図1に示すように,金属表面の微小な塑性変形を利用した加工法であり,表面粗さを改善するだけではなく,材質改善にも有効である2,3,4).従来のローラーを利用したバニシング工具は平坦な加工物と円筒状の加工物を加工しやすいが,複雑曲面を持つ加工物への加工が困難である.本研究では曲面の加工が対応できるボールバニシング工具を開発し,それを用いてマグネシウム合金の表面粗さ,ビッカース硬さ,結晶粒径と結晶配向性などの表面改質効果の評価を実施した. 図1 バニシング加工の概略図 2・1 オンマシン力制御可能なバニシング実験システムの構成 本研究では,ロードセルとエアシリンダーを内蔵した,加工中のバニシング力をリアルタイムで検出することが可能なボールバニシング工具を開発した.ボールバニシン東京工業大学 工学院 助教 朱 疆 グ工具及びその概要は図2に示す.より安定な加工力を得るために,本研究ではエアサーボコントローラを用いて,加工力をオンマシンで制御できる実験システムを構築した.システムの構成は図3に示すように,サーボコントローラが上位制御PCから目標値を読み取り,ロードセルから検出した測定値との比較により,電空レギュレータに与える指令電圧を調整することで,エアシリンダーの出力を制御する.工具先端に直径5 mmのタングステンカーバイド球をバニシングボールとして用いられる. 図2 ボールバニシング工具の写真と設計図 2・2 実験条件 圧延で作られたマグネシウム合金AZ31(ビッカース硬度65,ヤング率44.8 GPa)の板(100 mm×100 mm×5 mm)を被加工物として使われる.AZ31の化学成分は表1に示す.バニシング工具をNCフライス盤に取り付けて,走査線軌跡で加工を行い,加工された表面に対して表面粗さ,− 130 −バニシング加工を利用した金属材料の組織制御
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