助成研究成果報告書Vol33
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m 1  図1は本解析で使用した解析モデルを示している.モデル形状は図1aに示すような薄板状の引張試験片とし,標点間に試料の厚さ方向を高さ方向とする六角柱の結晶粒を次式で仮定する. g,m,および1exp ここで,0は,それぞれすべり系αの分解せん断応力,ひずみ速度依存性指数,および参照せん断0sgn はすべり系間の相互作用を表現する係数でここで,あるが,本研究ではすべての組合せが等価であると仮定して,ˆは,全すべり系の累積すべり量Γの関数である次式Voce則を用いた. を用いた.また,式(2)中の11.研究の目的と背景 2.解析方法 キーワード: 複相合金,有限要素解析,結晶塑性構成式 構造用金属材料に求められる特性として,高い強度に加えて適度な延性が挙げられる.多くの単相材料の場合は,強度と延性はトレードオフの関係にあるが,高強度を担う相と高延性を担う相からなる複相材の場合には,その組織形態に依存して強度と延性の両者に優れる特性を持ち得る.工業的に重要な鉄鋼材料においては,フェライト/マルテンサイト二相組織(DP)鋼が,高い強度と延性を併せ持つ材料として知られており,自動車用鋼板として実用化されている1), 2).さらに,変形過程における相変態や双晶形成をも利用して強度と延性に優れた鉄鋼材料が数多く開発されているが,組織の複雑化に伴い,力学特性の発現機構を把握し,特性を定量的に予測することは,より困難になっている. 本研究では,複相鋼における組織と特性の関係に関する基礎的な知見を得ることを目的として,これまでに著者らが構築してきた結晶塑性有限要素解析手法3)-6)を用いて,(i)初期集合組織,(ii)各相の体積分率,(iii)軟質相の特性,それぞれが複相鋼多結晶体の変形挙動に及ぼす影響を数値的に調査した. 2・1 結晶塑性構成式 本研究ではPeirceら7)により提案された速度依存型結晶塑性構成則を導入した大変形有限要素法を用いた.すべり系αのせん断ひずみ速度 ひずみ速度を表している.速度依存性が十分に小さいとき,gはすべり系αの臨界分解せん断応力(CRSS)と式(1)中近似的に一致する.すべり系レベルでの加工硬化挙動を表現するgの発展則として,本研究では下記の硬化則を用いた. ˆdd熊本大学 材料・応用化学工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017010) 准教授 眞山 剛 g本研究では解析対象としてDP鋼を想定し,その構成相であるフェライト相およびマルテンサイト相の変形機構としては,いずれも{110}<111>および{112}<111>すべり系を考慮した.また,マルテンサイト相については,晶壁面内/面外異方性8), 9)を考慮した.式(1)~(3)中の材料パラメータは,マイクロ材料試験結果10)に対して同定された値を用いた. が一様に含まれる多結晶体とした.各相の初期配置としては,図1bに示すようにマルテンサイト体積分率50%を標点間にランダムに配置させたモデルを作成し,その配置および体積分率依存性について調査した.初期集合組織としては,図1cおよび図1dに示した,ランダム集合組織およびαファイバー集合組織11)を用いた.なお,各相の配置 図1 本解析に使用した解析モデル.(a) 試料および結晶粒形状,(b) 各相配置の一例(Vf = 50%),(c) ランダム集合組織,(d) αファイバー集合組織.  (1) (2) ˆ0101 (3) − 126 −二相組織鋼の階層構造を考慮した力学解析手法の構築 1 上式中の,および,,は加工硬化挙動を1010表現する材料パラメータである. 2・2 解析モデル

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