助成研究成果報告書Vol33
122/466

図10 マグネシウム合金管の引抜き加工法 図9 医療用マグネシウムステント 図8 作成した無痛注射針極細管のSEM写真 3.医療ステント用マグネシウム合金管の引抜き加工 引抜き途中の直径0.42mmの引抜き管内の断面形状は星型形状になっていることがわかる.一方液体マンドレル引きによる管は直径が0.18mmという極細管になっても薄肉でかつ管断面形状は大きなしわや偏肉もなく,医療用極細管として必要条件を満たしていることがわかる. また,引抜き素管の内面の表面性状をSEM(走査型電子顕微鏡)により調べ,その結果を図6に示す.素管内面はおそらく心金引きで製作した時の伸金マークのようなしわ疵が見られる.空引き管の内面には管の長手方向に大きなしわ疵が発生していることがわかる.一方23パス液体マンドレル引きを行った管の内面でも長手方向にしわ疵も観察されるが,そう大きくなく素管の表面性状に近いものである.定量的にしわ疵の大小を調べるため,管内面の円周方向の表面粗さを測定した.素管の平均表面粗さRaは0.16μm,空引き管,液体マンドレル引き管の平均表面あらさはそれぞれ0.88μm,0.20μmであった.液体マンドレル引きは細径化しても薄肉を保持し続ける加工法だけではなく,管内面の表面粗さをさほど悪くすることなく極細管に成形させる加工方法であることがわかった. 2.4 極細管の量産化技術と無痛注射針の試作 液体マンドレル引き実験の結果を基に極細管の量産製造技術について,検討した.図7のようにコイル状の管の中に水を封じ込め,その管をドラム式伸線機にて引抜きを試みた.行った管材の長さは10mレベルであるが,引抜きは可能であり,引抜き管の肉厚,偏肉については上記のドローベンチによる引抜き試験と同じあった. 得られた直径0.18mmの管材を無痛注射針用に針先を加工し,その外観をSEMで観察した結果を図8に示す.管内面の表面粗さ,偏肉なども良好であり,この加工方式での極細管の量産化が可能であることが明らかになった. Tube 図7 長尺極細管の量産引抜き加工工程 100µm マグネシウムは生体適合性がよく,さらに手術後マグネシウムステント(図9)は体内で溶けるため,マグネシウムステントは非常に期待されている8),9).ただマグネシウム伸線材を編んでできたステントの強度は高くないため,引抜き管をレーザー加工によりステント作成が要望されている.マグネシウム合金管の冷間引抜き加工は難しいが,潤滑剤の選択や引抜き加工条件の最適化により引抜きの可能性を探る. 3.1 管の各種引抜き法の検討 管の引抜きには前述した液体マンドレル引きのほかに図10に示す空引き,心金引き,浮きプラグ引き,マンドレル引きの加工法がある.心金引き,浮きプラグ引きを試みたがマグネシウム合金管の加工性は乏しく,引抜くことはできなかった. 直径7.8mm,肉厚0.9mmのマグネシウム合金管を素管とし空引き,軟質金属(純アルミニウム)をマンドレルに用いたマンドレル引き,そして液体マンドレル引きを行う.いずれの加工法も1パス外径縮小率R/Pを5%にして引抜きを繰り返し,直径が3.3mm(総外径縮小率Rt=56%)まで引き落とした.それらの管の断面形状写真を図11に示す. Die fluid Drawing Die − 120 −

元のページ  ../index.html#122

このブックを見る