助成研究成果報告書Vol33
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1. 研究の目的と背景 )noillib tnempiuqe lacide tekram $ ( MSUr キーワード:液体マンドレル引き,無痛注射針用極細管,マグネシウムステント 高度先進医療における技術革新,無痛注射針をはじめとする人にやさしい医療機器などの開発が要望されている.一方日本の平成27年度国民医療費は約42兆円,医療機器の国内市場は約2.7兆円といずれも膨大1)~3)であり,これが財政健全化に対し大きな問題となっている.高度先進医療における技術革新や新しい医療機器の開発が期待され,世界的医療機器市場も急拡大が予想されている(図1).今後はアジア諸国を中心に市場がさらに拡大するとされている. 特に先進的な医療用ステント,無痛注射針や医療手術用吸引管の開発製造には引抜きなど塑性加工を施したした極細管が必須となる4)~6).これらの製品においては,上記の極細径化のほか高品質化,人体に優しいこと,非アレルギー性が要求される. 本研究では,ステンレス鋼やマグネシウム合金の素管から管内外表面の性状が良好,そして薄肉である医療用極細管に加工する安価な引抜き技術を確立することを目的とする.管の引抜き加工では通常,直線管の製造にはドローベンチを用い,コイル管製造にはブルブロックという引抜機械を用いる.本研究では管内に水などの流体を封じ込めた管を素管とし,ドラム式の伸線機を用いた液体マンドレル引き7)により長尺,薄肉,かつ管内外の表面性状が良好な極細管の量産製造が可能であるかについて検討した.無痛注射針用管や医療用吸引細管の製造には,目標管直径を 0.18mm(34ゲージ)とし,ステント用マグネシウム合金細管の目標直径を1から3mmとした. 図 1 世界の医療機器市場の予測 (経済産業省医療機器政策より) (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017008) 東海大学 工学部精密工学科 教授 吉田 一也 図2 医療用細管の液体マンドレル引き 2.注射針および医療吸入管用極細管の製造 2.1 供試材料および実験方法 図3 長尺極細管引抜きのドラム式引抜き機 直径1.27mm,肉厚0.146mmのステンレス鋼焼鈍し管(SUS304)を供試材料とした.引抜きには超硬およびダイヤモンドダイスを,潤滑剤にはテフロン樹脂系潤滑剤を用いた.引抜条件はこれまでの実験より最適と判断した1パス管外径縮小率R/Pが8%,ダイス半角αが6°とした.引抜きを23パス行い,目標の直径 0.18mmの極細管に引き落とした. 通常の管の空引きでは引抜き毎に肉厚が増肉することと管内径が形状不良になることから医療用極細管には適合しない.本研究では,図2に示す液体マンドレル引き7)により医療用極細管の仕様に適用する管の製造を検討する.管内に液体(主に水)を封入し,その後管の端末に栓を施し,その管をダイスに通し引抜く方法である.この方法では引抜き中に管には内圧が働き管の増肉を抑制するほか,管内面の表面性状の悪化抑制にも好都合である. また,長尺極細管を得るため,ドロ-ベンチのほか図3に示すドラム式単頭引抜き機も使用して引抜いた. 2.2 有限要素法による管の引抜き解析 繰り返し空引きや液体マンドレル引き後の管の材料変形,肉厚や残留応力を有限要素法(FEM)により予測することができる.図4には1回の外径縮小率が Year other ASIA (except JP) JP EU US − 118 −液体マンドレル引きによる医療用極細管の量産化技術

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