助成研究成果報告書Vol33
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(d = 0.14 mmψ)で伸線加工した線材の断面組織写真.3.2 伸線加工にともなう強度,導電率の変化 導電率に関しては,いずれの合金組成でも伸線加工前は30%IACSであり,ピーク時効材より高い.導電率は,加工度ε = 4.0 (d = 0.4 mmψ)までは僅かに増加する.それよりも伸線加工が進むと,導電率は徐々に低下するが,ピーク時効材の導電率(最大17% IACS)よりは高い値を示す.加工度が同じ線材ではTi組成が大きいほど導電率は低い傾向がある.Fig. 6に加工度ε = 6.8 (d = 0.1 mmψ)まで伸線加工したCu-2.7 at.% Ti,Cu-3.5 at.% TiおよびCu-4.3 at.% Ti合金線材Fig. 1 多段階時効により過時効処理した(a) Cu-2.7 at.% Ti, (b) Cu-3.5 at.% Ti, and (c) Cu-4.3 at.% Ti 合金棒(3.0 mmψ)の断面組織写真.(a’), (b’), (c’)は高倍像. 銅固溶体相(暗部)とβ-Cu4Ti(明部)Fig. 2 Cu-Ti合金のTi組成にともなう不連続析出物β-Cu4Tiの体積分率,Cu母相およびβ-Cu4Ti相中のTi含有量.図中点線はCu-TiFig. 3 Cu-3.6 at.% Ti合金過時効材を加工度(真ひずみ)ε = 0~6.2 Fig. 4 Cu-3.5 at.% Ti合金過時効材(ε = 0)(a),および伸線加工材(ε= 4.6 (d = 0.30 mmψ))(b) から抽出分離により採取されたβ-Cu4Ti相のFESEM像.伸線加工前材では,試料全体を板状β-Cu4Ti相とCu相から構成されるラメラ組織が占有する(Fig. 3(a)).ラメラ組織の配向はランダムで,β-Cu4Ti層の平均間隔は約200 nmであった.これを伸線加工していくと,加工度ε = 0.8(d = 2.0 mmψ)までにラメラ組織の積層方向が伸線方向に対して垂直に揃う(Fig. 3(b)).更に伸線加工すると板状β-Cu4Tiの厚さや間隔が徐々に減少し,同時にβ-Cu4Tiが湾曲し始め(Fig. 3(c)),ε = 4.6(d= 0.30 mmψ)になるとβ-Cu4Tiは数10 nm間隔で分断される(Fig. 3(d)).更に伸線加工すると,β-Cu4Tiは細径化し,体積分率が減少していく(Fig. 3(e)).Fig. 4は過時効材(ε = 0)および伸線加工材(ε = 4.6 (d = 0.30 mmψ))を抽出分離することにより採取されたβ-Cu4Ti相のFESEM像である.過時効材ではβ-Cu4Tiは板状であったが,伸線加工によってナノファイバー状に形状変化することがわかる.以上のような伸線加工にともなうβ-Cu4Tiの形態変化はCu-(2.7~4.3) at.% Ti合金のいずれでも同様であるが,Ti組成が大きい試料ほどβ-Cu4Tiの体積分率が大きくなるため,ナノファイバーが高密度に形成される様相を呈していた.の積層セル組織がみられる.二元系状態図12)より予測されるβ-Cu4Ti相の体積分率.Fig. 5に多段階時効したCu-(2.7~4.3) at.% Ti合金を伸線加工したときの加工度にともなうビッカース硬さと導電率の変化を示す.ここで,導電率(% IACS: International annealed copper standard)は万国標準軟銅の導電性を100%とした相対割合で表す.いずれの合金組成でも,多段階時効棒材の硬さは伸線加工前は175 Hv以下であり,ピーク時効材と比べて著しく低い.加工度ε = 4.0(d = 0.4 mmψ)までは硬さは比較的緩やかに増加するが,それ以降では伸線加工にともなって硬さは顕著に増加し,ε = 6.8(d = 0.1 mmψ)以降ではピーク時効材と同等以上になる.加工度が同じ線材ではTi組成が大きいほどビッカース硬さが大きい傾向がある.− 114 −

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