キーワード:ポーラス金属,接合,圧縮試験 膜被化酸極陽1.研究の目的と背景 ポーラス金属の製造法は2001年に発表された総説1)以降も種々開発されており、そのうちの一つに、金属の小要素(部材)を接合してポーラス金属とする手法がある。例えば、金属中空球や金属中空管2)、金属短繊維3)などを結合する手法があり、さらにはリサイクルを視野に入れ、金属の切削屑を小要素として接合する創製方法もある4)。これらの手法によれば、程度の差はあるものの、ポーラス金属の製造において課題である気孔性状(気孔率、孔径、気孔形状等)を制御できる。例えば厚みを均一に制御した金属中空球を必要数用意して成形すれば、発泡法等の従来法に比べて機械特性のばらつきは抑えられる。加えて、気孔性状の傾斜化や局所化なども容易である。 一方で、部材としてのポーラス金属成形に必要な接合技術は、焼結(拡散接合)、あるいは金属によるろう付けなど、加熱を必要とする従来技術が転用されている段階に留まっている。加熱は金属組織の劣化(粒成長、金属間化合物形成等)の原因になるため、室温での接合が望ましい。 著者らは近年、金属どうしをめっきにより室温接合する「めっき接合」の研究を進めている(図1)5)。この手法ではめっきを金属部材の間に接着剤のように析出させ、接合する。この際に、被接合金属の表面に陽極酸化処理等によりポーラス構造を形成しておくと、被接合金属とめっき材の間でアンカー効果を得ることができ、接合強度が著しく向上する(図2)。一方、デメリットとして、広い領域のめっきの均一析出・充てんの難しいことが挙げられる。 図1 めっき接合の模式図 京都大学大学院 エネルギー科学研究科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017006) 准教授 袴田 昌高 図2 陽極酸化により形成されるポーラス構造を利用したナノアンカー効果の模式図 図3 エンボス板のめっき接合によるポーラス金属創製法の模式図 以上の背景から、今回、金属エンボス板どうしをめっき接合することによってポーラス金属を作ることを考えた(図3)。この場合、めっき接合がカバーする領域は板どうしの接触点周囲のわずかな部分でよく、上述しためっき接合のデメリットは考慮しなくてもよくなることが期待される。本報告書では、被接合材として2枚のアルミニウムエンボス板をめっき接合で一体化し、その圧縮特性を調べた結果を報告する。 2.実験方法 純アルミニウム製のエンボス板(図4)を、純アルミニウム板材の冷間加工により作製した。エンボス板/めっき間のアンカー効果を目的として、これらのアルミニウム板の陽極酸化処理を行った。アルミニウムエ50〜100 nm孔内をメッキが充てん、アンカー効果を発揮基材(AlもしくはSUS)せん断せん断メメッッキキ− 109 −エンボス加工とめっき接合によるポーラス金属部材の創製
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