図12は鍛造材料初期温度:Tmo=1000℃,1150℃,摩擦せん断係数:Mm=0.4,接触時間:tc=0.05sec,硬質日皮膜厚さ:th=0.0mm(皮膜無し),型先端半径:Rc=2.0mmにおける金型内の相当応力分布を示している.鍛造材料初期温度が温間相当の場合には相当応力の最低応力:σminは210MPa,最高応力:σmaxは550MPaに対し,熱間相当になるとσmin=約160MPあ,σmax=約380MPaまで低下する.つまり鍛造材料初期温度が高くなると金型は熱軟化によって塑性変形し易くなることを意味している. (a) Tmo=1000℃ (b) Tmo=1150℃ (a) tc=0.05sec (b) tc=0.08sec 参考文献 4.結言 図図1122 鍛鍛造造材材料料初初期期温温度度とと相相当当応応力力分分布布 接触時間の違いによる相当応力分布を示したものが図13である.接触時間が長くなるほどσmin,σmaxともに低下することが分かる.これは接触時間が長くなると型内のTmaxやTminも高くなり,温度分布も全体的に高温状態となる.つまり熱軟化により相当応力が低下し,塑性変形し易くなる. 図図1133 接接触触時時間間とと相相当当応応力力分分布布 モデル鍛造試験による動的熱負荷および鍛造中の型の熱軟化状況をFE温度および応力解析により求めた結果より以下のような結論が得られた. (1)モデル鍛造試験において,鍛造材料初期温度:Tmo=850℃,1000℃,1150℃,鍛造面圧Pc=15.6MPa,23.4MPa,39.6MPaの条件において金型昇温試験を行い,金型温度および鍛造材料温度履歴に関する有用なデータを得ることができた. (2)モデル鍛造試験開始から約10分まで非定常状態で温度サイクルが上昇傾向にあり,また,その後,1サイクルの開始時と終了時の温度がほぼ同じとなり,定常状態になっていることが分かった. (3)FEMによる数値解析において,鍛造材料初期温度:Tmoを高くすると,金型最高到達温度は高くなり,また,金型の変形抵抗(=相当応力:金型が塑性変形する応力)が小さくなるの,塑性変形を起こしやすくなる.したがって,鍛造材料初期温度を可能な限り低くした状態で押出し加工が実現できれば型の熱軟化を抑制することができる.ただし,成形の観点から見れば鍛造材料の変形能を十分に確保するにはTmoが高い方が良い.そのため,Tmoを適切な温度に設定することが大切である. (4)同じくFE解析において,摩擦せん断係数:Mmは小さい方が熱軟化を抑制でき,パンチの塑性変形も防止できて好ましいが,Mmの値は鍛造加工中に鍛造材料と金型との相互のせん断応力によって変化する.そのため,鍛造加工中に適切な潤滑材を使用することによりMmを可能な限り小さくすることで型寿命の改善・向上につながる. (5)パンチと鍛造材料の接触時間:tcを短くすると,熱流入量の減少によりパンチの温度の上昇を防ぐことができ,より大きな相当応力にも耐えることが出来るようになる(変形抵抗が大きくなるので塑性変形しにくい).したがって,パンチ母材の熱軟化が抑制され,型寿命改善・向上につながる. 最後に本研究は公益財団法人天田財団の研究開発助成を戴いて実施したものであることを明記し,ここに甚大なる謝意を表します. 1)南・濟木他:熱間鍛造型の熱負荷シミュレ-ションの効率化,日本機械学会地方講演論文集,No.968-2,58-60,1996.7. 2)南・濟木他:表面窒化処理を施した温・熱間鍛造金型の熱負荷解析,第46回塑性加工連合講演会,249-250,1995.9. − 101 −
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