助成研究成果報告書Vol31
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− 42 −レーザプロセッシングレーザプロセッシングAF-2015204一般研究開発助成AF-2015205一般研究開発助成固体表面のナノ加工フェムト秒レーザー,ナノ加工,レーザーアブレーション,表面プラズモンポラリトン,近接場gmiyaji@cc.tuat.ac.jp自動車産業,金型産業表面処理,選択的窒化,小型レーザー,プラズマ分光nohtsu@mail.kitami-it.ac.jp東京農工大学 大学院工学研究院准教授北見工業大学 工学部 地球環境工学科教授宮地 悟代大津 直史サイクルパルスレーザー励起表面プラズモンポラリトンを利用したナノ加工小型レーザーを利用した金属材料表面の選択的窒化技術の開発高強度のフェムト秒レーザー光を固体表面に複数パルス照射すると,ナノメートルサイズの周期構造がアブレーションによって生成される.一連の実験とモデル計算によって,非線形光吸収過程による高密度電子の発生と,光近接場によるナノアブレーションと表面プラズモンポラリトンの励起が,ナノ構造生成の支配的な物理プロセスであると提案してきた.本研究では,中心波長800 nm,パルス幅7 fsのレーザーパルス(数サイクルレーザーパルスとよばれる)を用いてアブレーション実験を行ったところ,フルーエンスの増加によってナノ構造の周期が減少することを初めて観測した.数サイクルレーザーパルス発振器を用いたナノ加工の前例はなく,本研究によって初めて発振器によってレーザーナノ加工できることを示した.得られた物理プロセスを基に本加工現象を制御できれば,大規模な増幅器が不要なレーザーナノ加工装置が実現できることを示している.汎用小型パルスレーザーからの集光ビームを、窒素ガスを吹きつけている金属表面に照射することで、レーザー誘起プラズマを局所的に発生させ、照射部位近傍のみを選択的に窒化する技術の開発を目指した。本研究では実用化を見据えてチタン材料を対象として、パルスレーザーの周波数と窒素ガス吹き付け速度の最適化をおこない、さらにこの最適条件下で形成された窒化物被膜の機械的特性を調べた。レーザー誘起プラズマからの発光スペクトルは主にチタンのイオン線から成り、その強度は、パルス周波数が15Hzのときが8Hzよりもはるかに高かった。同様に、X線回折(XRD)パターンにおけるδ-TiN相からの反射は、15Hzを使用した場合に向上した。一方、窒素ガスの吹き付け速度は、窒化物層の上に形成された薄い酸化物層の厚さに影響を与え、高い流速を用いると、酸化物層は薄くなった。

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