− 37 −塑性加工塑性加工AF-2016041奨励研究助成AF-2016042奨励研究助成マイクロフォーミング少結晶材料,画像相関法n-ueshima@material.tohoku.ac.jp塑性変形を利用した固相接合技術分野,塑性変形による組織制御技術分野マグネシウム合金,固相リサイクル,集合組織kobune.satoshi@iri-tokyo.jp東北大学 大学院工学研究科 金属フロンティア工学専攻助教(地独)東京都立産業技術研究センター 事業化支援本部技術開発支援部副主任研究員上島 伸文小船 諭史粗大結晶粒材料の変形解析による少数結晶材料の塑性変形機構の解明難燃性マグネシウム合金切削屑の薄板状固化成形および集合組織の解析板厚方向にほぼ粒が一つであり,少数の結晶粒で構成されるCu-xAl引張試験片を作製し,デジタル画像相関法(DIC法)とEBSD測定によって,結晶粒毎のひずみ分布を調べた.始めに,GOSの分布とDIC法によるひずみ分布を比較し,よく一致していることを確認した.次に,ひずみが集中する粒の特徴について調べたところ,シュミット因子が高い粒に必ずしもひずみが集中するわけでは無く,粒径などその他のパラメータでも説明がつかない場合があった.そこで,各粒のすべり線と,シュミット因子最大のすべり系から予想されるすべり線の整合関係を調べた結果,粒の数が10個に満たないほど少数の場合にはほぼ一致するのに対して,それよりも大きい場合には全体の半分程度の粒しか一致しないことが分かった.この関係を説明する為に,最近接粒から受ける弾性的な拘束を計算した結果,ほとんどの粒の活動したすべり系の説明が可能であった.本研究では,熱間摩擦押出しを用いてAZX612難燃性マグネシウム合金切削屑の薄板状固化成形を試みた.摩擦押出しは,圧延材から採取した切削屑を室温で圧粉成形を施した前駆体に,温度を300~400℃,押出比を20,圧力を240MPa,出口速度を20mm/minの条件で適用した。固化成形体の評価として,ミクロ組織の観察,集合組織解析,室温引張試験,室温V曲げ試験を実施した.その結果,押出温度が400℃の条件において,押出方向(ED),押出直交方向(TD)ともに切削加工前の圧延材と同程度以上の強度を有する結晶粒径が10μm以下の板材を得ることに成功した。固化成形体の集合組織は,底面が板面法線から約10°の角度で反押出し方向に傾斜して発達しており,この傾斜した集合組織の影響を受け,0.2%耐力はEDでは圧延材より低下し,TDでは圧延材より増大した。これは,底面がEDに傾斜したことでSchmid因子が増大したためと示唆された。しかし,底面の傾斜による室温V曲げ性の向上は認められなかった。
元のページ ../index.html#39