表1 冷間工具鋼SKD11と熱間工具鋼SKD61の合金元素含有量 図2 部分溶融実験や圧縮試験に用いた機構、金型、試験片の外観と寸法 − 241 −ットを温間塑性変形する。変形した鉄鋼材料を半溶融温度まで加熱する。加熱の過程中、再結晶、オーステナイト化、結晶粒の成長、部分溶融が逐次に発生する。部分溶融は結晶粒界などの合金元素に富んだ領域に発生するため、均一球状微細組織が得られる。先の予備実験の結果は、簡単なRAP処理では組織の微細化と機械的特性の改善が予想する目的に達することができないことが判明した。RAP処理した鉄鋼材料の微細組織と機械的特性に及ぼすRAP処理の様々なパラメーター、RAPの前処理と後処理の影響を見出す必要があることが判明した。具体的には、RAP処理のパラメータは、温間加工の温度と変形量、加熱処理の加熱速度、最終温度、等温保持時間などである。RAP処理の前処理は鋳造材の鋳造方法、冷却速度が重要となり,後処理は熱間加工、熱処理が重要となる。 2.実験方法 2.1 実験材料の紹介 本研究には、2つ種類高合金工具鋼を利用された。冷間工具鋼SKD11と熱間工具鋼SKD61です。この2種類の高合金工具鋼の合金元素含有量を表1に示しました。冷却実験の結果を元にして、冷間工具鋼SKD11と熱間工具鋼SKD61 の半溶融温度区域を測定した。SKD11の半溶融温度区域は1200 - 1342 °C。SKD61の半溶融温度区域は1318 - 1489 °C。 2.2 実験方法の紹介 図2に,部分溶融実験や圧縮試験に用いた機構、金型、試験片の外観と寸法を示した。試験片を決めた温度に加熱して、20秒で等温保持したら、室温に水冷します。後に、試験片を研磨し、腐蚀したら、微細組織を光学顕微鏡やSEMで観察します。試験片中の合金元素の分布をEDSで分析します。試験片中の金属相をEBSDで分析します。 3.実験結果と討論 3.1 微細組織の変化 室温に冷間工具鋼SKD11の違う方向の微細組織を図3に示している。2種類の炭化物を発見しました。大きな炭化物が圧延方向に分布している。小さい炭化物は均一分布している。EDS結果を元にして、大きな炭化物と小さい炭化物は全部M6C炭化物です。大きな炭化物存在の原因は原材料鋳造の時発生した合金元素の分離です。多い合金元素が樹枝状金属結晶の間に生成しました。後の熱間圧延が炭化物の方向性を引き起こす。小さい炭化物生成の原因は熱間圧延後の熱処理です。熱処理の過程中、二回炭化物を析出しました。そして、小さい炭化物の分布は方向性が無く、均一です。
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