3.2 伸縮性トランジスタ特性 図13に出力特性を示す。トランジスタとして良好な特性を得ることに成功した。電解効果移動度は0.09 cm2/Vsと、非伸縮性材料で構成した高分子半導体トランジスタよりも若干低い値になったが、絶縁膜と半導体の界面などを検討することで今後改善できると考える。 図13 伸縮性トランジスタの出力特性。 4.1 製造プロセス さらに今回開発した伸縮性PEDOT:PSSの特性を最大限に活用できる応用として、伸縮性透明タッチセンサを作製した。まず、レーザーアブレーションでパターニングを図14 伸縮性透明タッチセンサアレイ。(a)ロボットに貼り付けられた写真。(b)構造。(c)タッチセンサ配線図。(d)タッチセンサの動作メカニズム。(e)指一本のタッチをセンシングする様子。(f)指二本のタッチをセンシングする様子。 4.伸縮性透明タッチセンサアレイ 5.伸縮性エレクトロクロミックディスプレイ 最後に導電性高分子が電気化学的に酸化還元すること行った伸縮性PEDOT:PSSを成膜した。さらに転写プロセスにより絶縁膜として厚み4 µmのSEBSを電極上に成膜し、その上に再度レーザーでパターニングした伸縮性PEDOT:PSSを成膜した。 4.2 伸縮性タッチセンサの動作検証 図14に作製した伸縮性透明タッチセンサを示す。図14aに示されるように柔らかいロボットの表面にも高い追従性を有する。図14b,c,dに全体の構造と模式図を示す。二層にパターニングされた伸縮性PEDOT:PSSの配線が交差するようになっており、伸縮性の絶縁層が挟み込まれている。作製されたセンサは相互容量方式で、直交する上部電極と下部電極の間のキャパシタンスを読み取ることで指が触れているかどうかをセンシングする。指が近づくと交差した電極の形成する容量が変化し、タッチを認識できる。図14e,fに示すようにシングルタッチ、マルチタッチを両方認識することに成功した。 で発色の変化を示すことを利用した伸縮性エレクトロクロミックディスプレイを作製した。本デバイスは、伸縮性の基材、導電性高分子、電解質、導電性高分子、封止層の5層からなり、上下の伸縮性導電性高分子間に電圧を印加することで発色を制御できる。特徴として、5層の合計膜- 96 -
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