抑えた.本実験では集光角24°程度のNA(開口数)0.4対物レンズを用いたため,試料を25°傾けて加工を行った. 表表33に実験条件を示す.加工ピッチを変更し,亀裂が連続する加工ピッチの閾値を検討した.レーザは試料(111)面から照射し,(211)面を剥離するように作製した.各条件で5本ずつ変質線を作製して,面状にした. 図図77(a)~(d)に試料の光学顕微鏡による透過光画像を示す.加工ピッチが10 µm以下では,内部変質に不連続な部分が顕著に認められる.加工ピッチ20 µm,30 µmでは,内部変質が独立している.これは隣り合う変質線周囲の亀裂の影響であり,内部変質線を密に並べて作製することは困難であることがわかる.図図77(e),(f)にピッチ20,30 µmで作製した試料の反射光観察画像を示す.ピッチ20 µmでは内部変質線間の全面に渡って反射光が観察される.これは変質線周囲の亀裂が,隣あう変質線同士で連続することでできた亀裂面による反射光である.ピッチ30 µmでは試料表面から一部分で亀裂面が連続し,裏面付近では亀裂面が生成されていないことが観察される.図図88(a)にピッチ20 µmで作製した試料の裏面付近を反射光により観察した画像の拡大図,(b)に(111)面から見た断面,(c)にレーザ照射とは垂直方向の断面の観察画像を示す.ここで,(c)の断面観察には,同条件で作製した異なる試料の亀裂が連続している位置を用いた.断面の参考位置を図の赤破線で示す.図図33(a)より内部変質線間では亀裂による反射光が見える.(b)より亀裂が剥離面に対してほぼ平行に生成していることがわかる.これはレーザ照射面が,劈開面である(111)面であり,その面に沿って亀裂が進展したためである.(c)より,亀裂は(111)面に対して約72°傾いている.(111)面と同様な性質を持つ(-111)面は(111)面から約71°傾くため,図の亀裂は劈開面に沿って生成されている.また,内部変質から亀裂先端までの幅は約15 µm程度であった. 3.3 剥離実験 上記実験を参考に亀裂が試料裏面から表面にかけて連続する内部変質を作製する.亀裂面を剥離し,試料の粗さを計測することで,剥離した際の材料損失を計測する. 3.2で用いた実験条件のうちピッチ20 µmを用いて,内部変質線を20本引くことで面を作製した.試料の剥離面が300×400 µm程度となるように別のレーザにより剥離面を形成していない部分を除去した.これにより,剥離する試料と被剥離試料との接合部を亀裂面のみとした.マイクロプローブとハンマーを用いて外力を与えることで,剥離を行った. 図図99(a)に作製した内部変質面の透過光観察画像,(b)に剥離された試料の内部変質を作製した面の観察画像を示す.剥離部分を(a)の赤枠で示した.試料はマイクロプローブを押し当て,ハンマーで軽く数回たたくことで容易に剥離された.(b)より,剥離試料表面には,周期的な黒色の線が観察されるため,試料は作製した内部変質面から剥離されていることがわかる.レーザ顕微鏡により計測した面粗Laser Sample (211) (211) 100m 72° 40m (a) pitch = 5m (b) pitch = 10m (c) pitch = 20m (d) pitch = 30m (e) pitch = 20m Crack (f) pitch = 30m Milling point ModificatioCrack (a) Crack Modificatio(c) Modification Diamond Crack Crackless 100m (111) Sample 40m Crack (b) 15m 図7 変質層の顕微鏡像:(a) ~ (d) 透過光像, (e) ~ (f):反射光像([18]より許諾転載) 図8 亀裂の観察像,ピッチ20 µm:(a)裏面近辺の反射光像の拡大図,(b) (111)面方向からの断面図,(c)光軸と平行方向からの断面図([18]より許諾転載) さSzは32 µm程度であった.またレーザ走査を重ねる(図の下方向に向かう)ごとに,図図99(b)の赤丸で示したように,レーザ走査方向と垂直に線状の亀裂がいくつも生成されている. - 77 -
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