H H L L 5µm - 69 -5µm O-Kα SiGlass/Si接合部断面 Si-Kα Scanning direction 5µm 溶接ビード形成後の試料は,図図11((bb))に示すように,試験中のねじれを抑制するためリニアガイドを利用したクランプジグを用いてせん断試験を行った.そして,せん断試験前に溶接ビードの面積を測定することで,破断荷重を溶接ビードの面積で除すことでせん断強度を求めた.せん断試験用の試料には1mm×20mmのオプティカルコンタクト領域に5本の溶接ビードを形成し,同一レーザ光照射条件で試験速度は0.5mm/min一定とした5回測定を行ってその平均値をせん断強度して評価した. (a)レーザ光照射方法 (b)せん断強度テスト手法 図1 Glass/Si溶接継手作製と強度評価手法 2.2 レーザ光波長とパルス幅の影響 レーザ光波長として,532nmと1064nmの2種類,各々の波長に対してナノ秒パルスとピコ秒パルスの2種類,計4種類のパルスレーザを用い,単結晶Siとガラスの組み合わせに対して適切なレーザ光波長とパルス幅を検討した.レーザ光パルスが重ならないようにガラス基板からレーザ光を照射し,破断強度を測定した結果を図図22に示す.波長532nmよりも1064nm,ナノ秒よりもピコ秒パルスレーザの方が溶融物の飛散が少なく,穏やかな溶融痕形成が可能であった.そして,接合部の破断強度は,波長532nmよりも1064nmの方が,パルス幅はナノ秒よりもピコ秒の方が大きな値となっている. 図2 レーザ光波長とパルス幅がGlass/Si接合の破断 強度に及ぼす影響 一般に,Siは可視域である波長532nmよりも近赤外に属する波長1064nmの方が吸光度は低く,Si表面におけるエネルギー吸収が穏やかになる.また,レーザ光の重なり量を示すオーバラップ率が90%と非常に大きな条件であっても,図図33に示すようにピコ秒パルスの方がレーザ光走査線周囲への溶融物の飛散が少なく,非常に穏やかな溶接ビードが形成できており,近赤外線とピコ秒パルスレーザの組合せが有効であることがわかる. λ=1064nm, E=11μJ, Overlap rate=90% 図3 高パルス繰り返し数におけるパルス幅の効果 2.3 近赤外ピコ秒パルスレーザによる微細溶接特性 図図44はパルスエネルギー2µJ,パルス繰り返し数2MHz,レーザ光走査速度2m/sで照射したときの溶接ビード断面の組成像,およびOとSi元素分布を示したものである.用いたガラス試料は単結晶シリコンの線膨張特性と異なるホウ珪酸ガラスD263であるが,単結晶Siとガラスのクラックフリー微細溶接が行えている.また,単結晶Siとホウ珪酸ガラスD263の境界面は複雑に入り組んだ形状となっており,レーザ光照射によるへこみと隆起領域が存在している.このガラスの変形より,レーザ光照射領域のガラスは少なくとも軟化点(1,324K)以上に温度上昇したと考えられる.また,組成像からのみならず,OおよびSi元素分布からも,ガラス側へSiが拡散していることが確認されるとともに,細片化された塊として存在していることがわかる.このガラス側へのSiの拡散や細片化された塊の残存から,レーザ光照射部近傍における照射光軸上のガラス材料はレーザ光のエネルギーを直接吸収し,温度上昇が生じているものと考えられる. Glass (D263) λ=1064nm, tp=20ps, Rp=2MHz, E=2μJ, v=2m/s 図4 近赤外高繰り返しピコ秒パルスレーザによる
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