FORM TECH REVIEW_vol33
51/108

三重点に γ-TiAl 相と思われる Al-rich 相の形成が確認された.さらに,1073 K において 10 ks の時効処理後(図 10c, d)には,等軸状の γ-TiAl 相が成長するとともに,旧 α-Ti 相結晶粒内に層状の γ-TiAl 相が析出し,α+ γ 層状組織が形成されたことを示唆する縞状模様が観₂察された. TEM 観察(図 11)の結果,(0001)α2//{111}γ,<1120>α2//<110>γで表される Blackburn の方位関係を図10. Ti–40at%Al合金多結晶を1200℃にてひずみ速度 ε=1 sにてε= 0.7まで変形後,1073 Kにて時効熱処理後の組織.(a,c) SEM反射電子像, (b,d) EPMAによるAlの元素分布マップ. (a,b) 2 ks時効後, (c,d) 10 ks時効後.[D.X. Wei et al. Acta Materialia 125 (2017) 81-97] 9) ¹⁻⁻¹₂₃₂⁻⁻¹ 図11. Ti–40at%Al合金多結晶を1200℃にてひずみにてε= 0.7まで変形後,1073 K速度 ε=1 sにて時効熱処理後の組織のTEM像.(a,b) 2 ks時効後 (c,d) 10 ks時効後.[D.X. Wei et al. Acta Materialia 125 (2017) 81-97] 9) ように終端部が観察される成長途中段階にあると考えられるものが多いものの,2 ks 時効処理後(図 11a, b)においても γ 相の析出が確認された.一方,10 ks 時効処理後(図 11c, d)では,矢印で示すように一部の γ-TiAl 相に終端部が観察される成長過程の相も存在したが,大部分においては視野内に端部が見られないほどに成長し,均一に分布した γ-TiAl 相組織が観察された. 3.3 選択溶解によるラメラ多孔体の創製 図 12 に,1473 K において種々のひずみ速度で ε = 0.7 まで変形後,1173 K にて二相化熱処理を施した試料に対し,選択溶解を行った後の表面の SEM 像を示す.いずれの場合においても,層状の空隙が形成され,ラメラ多孔体が得られた.しかし,最小のひずみ速度 ε = 0.001 s¹ にて変形した試料では,ラメラ構造が一方向に揃った領域⁻(コロニー)が比較的大きく,その結果,ラメラ多孔体の構造が不明瞭であった. 図12. Ti–40at%Al合金多結晶を1200℃で種々のひずみ速度(ε)でε= 0.7まで変形後,1173 K- 24h 時効熱処理と選択溶解によるγ-TiAl相除去で得たラメラ多孔体.(a) ε =0.001 s-1, (b) ε =0.01 s-1, (c) ε =0.1 s-1, (d) ε =1 s-1. [D.X. Wei et al. Materials and Design 98 (2016) 1–11.] 7) ラメラが観察面に対して垂直に近いコロニー内を拡大して観察したところ,図 13 に示すように,ε = 0.01 s¹ 以上の高いひずみ速度で鍛造した試料(図 13b-d)では,⁻ 相の箔が配列して概ね 1 µm 程度以上の厚みを持つ αいた.一方,最小ひずみ速度 ε = 0.001 s¹ にて鍛造した試料では,ほとんどが厚み 100 nm 以下の極めて薄い α相の箔であり,波打ちが大きい構造を形成していることが₂確認された. この結果は,ε=0.001 s結晶に未再結晶部分が多く,転位密度の高い状態で時効熱処理を施したため,転位を起点とした γ 相の核生成が頻Al 相と γ-TiAl 相が積層した層状組織の形持って α成が確認された.また,分布はまばらであり,矢印で示す-Tiにて変形した場合,変形後の- 49 -

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る