FORM TECH REVIEW_vol33
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2.4 衝撃三点曲げ試験方法 本研究で用いた衝撃試験片の形状および寸法は図4と同等とした。図6に落錘式衝撃試験機(模式図)と試験機に設置した極低温クライオスタットを示した.衝撃荷重測定のためのピエゾ式ロードセル(容量10kN)を打撃棒に組み込み,その打撃棒がリニアガイドを通して試験片V切欠き背面に衝突する構造となっている.極低温試験ではクライオスタット内に液体窒素を吹きこませ,試験片近傍のダミー試験片が所定温度(83K)に達した時に試験を開始した.室温以上の試験温度は,熱風機を用いて実施した.いずれも試験でも,衝撃試験片やダミー試験片にずれが生じないように慎重に行った.試験温度範囲は83Kから423Kであり,その範囲の7水準の温度で試験を実施した.初期衝撃負荷速度は1.0m/sとした.重りの重量は,小林らの提案13)に準じて破断までの吸収エネルギーよりも3倍以上の付加エネルギーとなるように調整した. 図4 静的および衝撃三点曲げ試験片の形状および寸法 図3 引張試験片の形状および寸法 図5 各試験片の採取位置 のである.引張試験片の評点距離内にひずみゲージを貼付し,それをヤング率および降伏応力の計測用とした.また最終破断までの変形は非接触伸び計を用いて計測した.静的三点曲げ試験片はVノッチを付与し,形状および寸法はシャルピー標準試験片を参考にした.切欠き先端半径は0.25mmである.両試験ともに荷重負荷速度は1mm/minとし,室温大気中で実施した. 極低温での引張試験および静的三点曲げ試験は冷媒として液体窒素を用いて行った.試験片部の周辺を発砲ポリスチレン材製の極低温クライオスタットで囲み,液体窒素を試験片に適量吹きかけるようにして実施した(最終的に83Kで安定して試験が実施できた).変位測定はクライオスタット外部に治具を取り付け,治具の移動量を試験片の変位量としてレーザー変位形を用いて測定した.この変位測定機構と引張試験片に貼付したひずみゲージを比較し,精度良く変位測定が達成できていることを確認した.なお,両試験ともに負荷速度は1mm/minで行った. 試験の後,走査電顕を用いて破面観察を行った. 図1 多軸鍛造工程の概略を示した模式図 図2 降温多軸鍛造の加工温度履歴 - 39 -

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