𝐻𝐻�𝐻𝐻Al2.98- 38 -ZnMnSi0.930.380.010.001FeCuMg0.001Bal.≦≦Review降温多軸鍛造を施した展伸マグネシウム合金の機械的諸性質高橋 明宏*A. Takahashi*都城工業高等専門学校 教授 �.��0.8�1.49高橋 明宏 ででくくだだささいい ミニウム合金の63%であり,構造用材料としての利用が期待されている1).しかしMgの結晶構造が最密六方晶であるため室温での塑性加工が困難である.これは最密六方晶のすべり系が体心立方晶(例えば炭素鋼)や面心立方晶(銅合金やアルミニウム合金)に比べて数が少ないためである.さらに臨界分解せん断応力(Critical Resolved Shear Stress, CRSS)が最も低い底面すべり2)は室温下で容易に活動できるが,高温下(573~673K(300~400℃)程度)にならなければ他のすべり系が活動しにくいといった特徴を持つ3).室温での塑性変形能の低さに対して,SomekawaらはMgにマンガン(Mn)を添加することで延性が劇的に向上する4),5)ことを報告している. ところでMg合金の力学特性改善に関して,三浦らはAZ80Mg合金に降温多軸鍛造(Multi-Directional Forging, MDF)を施すことで降伏応力530MPa,延性9%を達成した6).さらに三浦らは展伸用Mg合金に冷間加工を施して高ひずみ導入後の結晶粒微細化効果等によって,これまでにない力学的性質の向上を達成している6).強加工技術7)-10)は添加元素を必要としないため資源活用上の利点を有する.その中でも,繰り返し高ひずみ導入が可能であり、あわせて加工素材の歩留まりが良好な多軸鍛造技術に注目が集まっている.しかしながら多軸鍛造を施したMg合金の研究成果は多くなく,極低温下での力学特性に関する調査報告は皆無である.そこで本研究では,熱間押出材とそれに多軸鍛造を施したサンプルの引張試験,静的三点曲げ試験および衝撃試験を室温および極低温下で実施し,それらの結果に基づいてミクロ組織,機械的諸性質と破壊挙動の関連について調査した. 熱間押出比:13,押出温度:523-623K,押出速度:2000mm/min)を用いた.今後,この受け入れサンプルを初期材と称することにする.初期材のビッカース硬度は59HVであった。 サンプル製造の鋳造段階で生成されると考えられる粗大 写写真真位位置置 削削除除ししなないい1.まえがき マグネシウム(Mg)合金の密度は,鉄鋼材料の22%,アル2.実験方法 2.1 供試材 本研究では、表1に示す化学組成のAZ31マグネシウム合金(AZ31Mg合金と略記)丸棒(大阪富士工業株式会社製,(1) (2) (3) 表1 熱間押出AZ31Mg合金の化学組成(mass%) 晶出物であるMg-Al系介在物の空間的分布状態を既報11),12)にしたがって調査した.その結果,介在物体積率Vfはそれぞれ1.9%であった。また,ある程度の介在物が凝集配置を示すPólya-Eggenberger(ポリヤ-エッゲンバーガー)分布を呈することがわかった. 2.2 降温多軸鍛造法 図1は多軸鍛造に関して模式的に示したものであり,圧縮鍛造を3パス実施すると鍛造開始前に戻ることを意味する.多軸鍛造は,矩形状の試料の高さをH0,縦を単位長さa=1,横をb,圧縮鍛造後の高さをHとすると,HとH0の関係を真ひずみを用いて表すと式(1)となる. ����したがってH0 = e0.8・H = 2.22H (eはネイピア数)となるため,式(2)と式(3)が成立する. 1�����2.22���2.22�そのため,試料における各辺の寸法比がa:c:b=1.00 : 1.49 : 2.22(図1)となった金型を準備すれば,毎回の鍛造パス間の真ひずみ = 0.8を鍛造ごとに累積可能であり,その上,試料の寸法比を常に一定にできる.更に理論上無限回の鍛造が可能になる.なお,本研究では降温多軸鍛造を採用した.すなわち図2に示すような鍛造パスごとに鍛造温度を逐次降温させながら実施した.必然的に金属学的な動的回復・動的再結晶を形成しながら結晶粒微細化に向けてミクロ組織が変化するという特徴を持っている.なお,nパス目(n=1, 2, 3)の試料をnパス材と略記する. 2.3 引張試験および静的三点曲げ試験方法 図3および図4は引張試験片および静的三点曲げ試験片の形状および寸法を示したものであり,ともに万能試験機を用いて実施した.図5は試験片の採取方向を示したも降温多軸鍛造を施した展伸マグネシウム 合金の機械的諸性質
元のページ ../index.html#40