FORM TECH REVIEW_vol33
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せん断面比率は全伸びが支配しているといっていい.しかし,30%も全伸びがある0.3Cフェライト+パーライト材のせん断面比率が全伸び18%の0.002C微細粒材よりも小さいこと,さらに,全伸びがわずか5%の0.02C微細粒材でもせん断面比率が40%程度あり,0.3Cフェライト+パーライト材を少し下回る程度であることを考えると,全伸びだけでは説明できないと思われる. 図7 全伸びとせん断面比率の関係 図8 せん断面比率と破断真ひずみの関係 破断真ひずみ(絞り)とせん断面比率の関係を表したものが図8である.0.3Cフェライト+パーライト材がはずれているため,絞りのみからも説明できるわけではないが,超微細粒鋼のように,伸びが小さいが,絞りが大きい材料のせん断特性は,絞りから説明できる.クリアランスが10%,6%の場合,全伸びと絞りがともに影響するが,クリアランスが2%となると,全伸びや絞りの差でせん断面比率は変化しなくなる. 3.2 だれ比率 図9は,せん断加工切り口面の変形,特にだれの様子を詳細に観察するために,穴抜き加工の途中止めを行い,断面を観察した結果である.クリアランス6%であるが,結晶粒微細材のだれはわずかであることが明らかである. 図10に示すように,0.02C粗粒材のだれ比率は,クリアランス10%~2%の低下によって,6.1%,4.2%,3.7%となるのに対し,0.02C微細粒材および0.002C微細粒材では,だれ比率は1/3程度の1.6%,0.93%,0.37%および1.6%,0.83%,0.59%となり,クリアランス10%の場合でも,だれ比率は2%以下である.クリアランス6%,2%の場合,だれ比率は1%以下となる.したがって,穴側のだれは実質的ないといっていい.結晶粒微細化のだれに対する影響は極めて大きい. 図9 だれの様子とその比率に及ぼす組織の影響 図10 クリアランスとだれ比率の関係 - 35 -

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