製し,せん断加工用のサンプルとした.せん断加工には,図4に示す金型を用いて,穴開け加工を行った.パンチの直径は3.00mm,ダイスの内径は3.04,3.12,3.20mmで,クリアランスは2.0,6.0,10.0%とした.せん断面の評価は,キーエンス3D-SEM VE9800等を用いた. 図3 0.02C,0.002C超微細粒材と0.02C粗粒材および0.3Cフェライト+パーライト材のの応力-ひずみ曲線 図4 せん断加工試験に用いた金型 3.1 せん断面と断面の比率 図5(a)に穴を切断し,切り口をSEM観察した結果を示す.また,図5(b)は抜けカスの外観を示す.切り口面(穴)の形状は,だれ,せん断面,破断面からなるが,その長さの割合を評価した結果を図5に示す.0.02C粗粒材の場合,クリアランスが,10%,6%,2%と減少してゆくにしたがって,せん断面比率は64%,68%,75%と増加し,破断面比率は,31%,30%,21%と減少した. 図5 (a)切り口面と(b)抜け 図6 だれ,せん断面 破断面の割合におよぼす組織と クリアランスの影響 一方,0.02C微細粒材の場合,傾向は同様であるが,せん断面比率はクリアランス10%,6%では,41%以下であり,粗粒材に比べて小さい.しかし,クリアランスが2%になると,せん断面比率は72%と同等となる.0.002C微細粒でも,傾向は同じである.しかし,クリアランス10%,6%の場合,せん断面比率は53%程度有り,0.02C微細粒材よりも大きくなる.また,クリアランス2%の場合は75%あった.一方,0.3Cのフェライト+パーライト材の場合も,同様な傾向であるが,せん断面比率は,42%,49%,71%と0.02C微細粒材に近い. せん断面から破断面への変化は,塑性変形から破壊への遷移であり,破断亀裂の発生が原因である.延性の大きな材料ほど延性亀裂が発生しづらく,せん断面比率が大きくなることを意味すると思われる.図7に示す全伸びとせん断面比率の関係を見ると,クリアランス10%,6%では,(a) (b) 3.結果および考察 - 34 -
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