Z 𝑄𝑄Rはガス定数(8.31 J/mol・K), Qは見掛けの変形の活性化𝑅𝑅𝑅𝑅エネルギー(483.6 kJ/mol)である.これよりZ因子と球状化率およびα粒径にてある程度良い線形的な相関性(図4)があり,動的球状化現象および粒径変化の現象論がそれぞれ� �1����exp�となる(adiabatic shear bandingを引き起こし,局所で加工発熱された箇所からせん断帯が形成・不均一変形が起きる現象である).他方で低速変形では定常変形の挙動を呈し,動的回復もしくはTi合金特有の連続型の動的再結晶が活発に起きていることを示唆している. 図2 応力-ひずみ曲線 代表的な加工組織を示すために,図3は加工温度850℃,加工速度(10-3s-1, 1s-1)で高温鍛造(高さ比50%)した組織(a1,2 SEM反射電子像,b1,2 圧縮軸に対するEBSD方位像(β))を示している.これよりより低速域での加工でα相(SEM像での黒色相)は等軸化(球状化)される様子が観察できる.これは低速域にてα相の動的球状化が促進していることを示唆している.出発組織では粗大な旧β粒中にラメラ状のα相が分布した組織で,加工組織(図3(b1,2))よりランダムな方位を呈す等軸なβ粒が形成されており,低速変形でよりβ粒が粗大化されている.これよりα相では動的球状化現象が,他方ではβ相では連続型の動的再結晶が動的復旧過程で起きることが分かる. 図4はZener-Hollomon(Z)因子と動的球状化率(出発状態でのα相のアスペクト比24が加工後で4以下になったα相の頻度で計測)の関係性およびα粒径(もしくはラメラα粒の幅径)を示している.Z因子は以下の(1)式で表され,熱活性化過程に寄与するひずみ速度ε ̇および加工温度Tを一元的な変数で現象論を議論することができる. で同様な熱活性化過程で支配されていることを示唆している.つまりは低Z側(熱活性化過程が強くなる高温・低速域)で動的球状化と拡散が活性化された粒成長が促進する.この動的球状化の現象論について概説すると加工でα-(a1, b1) 850℃-10-3 s-1, (a2, b2) 850℃-1s-1 図3 鍛造組織(SEM, EBSD) ラメラが捩じれるキンキングが起き,そのキンク部を起点として粒の分断と球状化が活性化される.熱間加工にて低ひずみ量ではキンク部およびラメラ域内では不均一に転位が集積した転位壁が形成され.ひずみ量の増加とともに,この転位壁から粒がスプリットする現象,もしくはこの転位壁付近のラメラの窪みから溶質元素が優先的に拡散・進行して,丸みを帯びた形態となり粒が分断され,αラメラが等軸化・球状化される現象が起き,動的球状化が活性化される.このTi合金の動的球状化現象・作用機構についてはGaoらにより詳細にレビュー1)されていることからも詳細はそちらを参照頂きたい. 以上のように高温塑性およびそれに付随する動的復旧機構(動的球状化,動的再結晶化,粒成長機構など)は熱活性化過程に支配され,とりわけ3つの加工条件(温度,ひずみ速度,ひずみ量)に影響される.図4では同様なひずみ量の状態での結果であり,この場合Z因子で良く相間・整理できるものの,ひずみ量を変数として考慮(追加)した場合では塑性流動特性(応力値)および動的復旧機構が複雑化しZ因子のみでは一様には整理することができない.図4 Z因子と動的球状化率およびα粒径の関係 - 29 -
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